これは、なーくん、ジェルくんが休止していた頃のお話です。
これは、フィクションです。
苦手な方は閉じてください。
理解した上でこのお話を読んでください。
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ななもり「ちょっと、大事な話があるんだ…」
その言葉で、会議通話の空気が変わったのを、莉犬はすぐに感じた。
鼓膜が一瞬で冴えて、喉の奥がきゅっと締まる。
いつもなら誰かが冗談を言って、緩やかに笑い合う空気なのに。
今日の空気は、張り詰めていた。
「なーくんが…しばらく、休みたいって」
先に口を開いたのは、さとみだった。
さとみ「あと、ジェルも。」
さとみ「心と体のバランス崩しちゃってて」
さとみ「少し休ませてやりたい…」
莉犬「……え?」
耳には入っているはずなのに、脳が理解を拒んだ。
空白。沈黙。思考がノイズで埋め尽くされていく。
るぅと「ちょっとの間だけだよ。」
るぅと「戻ってくるって言ってたし、」
るぅと「僕は良いと思う。」
るぅとくんの声が、妙に優しかったのが逆に怖かった。
優しい言葉ほど現実を突きつけてくる。
莉犬「……ほんとに、休止…?」
やっと声に出せた言葉は、ひどく情けないほど小さくて。
沈黙のあと、ジェルくんの声が聞こえた。
ジェル「ごめんな。莉犬。 疲れちゃった、」
ななもり「ジェルくんも…俺も、」
ななもり「莉犬くんのことは心配してる。」
ななもり「だから、頼みたい…」
莉犬「…………っ。」
なー君が居なくなったら統制はどうすればいいのだろうか。
ジェルくんが居なくなったら誰が楽しいことを言ってくれるのだろうか。
頭の中は不安でいっぱいだった。
目の前が、ぐにゃりと歪んだ。
頼られたかった。
でも、本当は…頼りたかったのは、こっちだった。
でも、今更そんなことは言えなかった。
「うん、わかったよ」って笑って出来るだけ優しく答えた声は、自分のものとは思えないほど明るかった。
通話を切ったあと、イヤホンを外して、ゆっくり息を吐く。
暖房を入れているはずなのに、部屋の空気がひんやりと冷たく感じた。
ひとりになったとたん、膝が崩れて床に座り込んだ。
喉の奥が痛く、目の奥が熱かった。
「……バカだな、俺ッ……。」
顔を手で覆いながら、涙をこぼす。
声は出さない。 誰にも聞かれたくなかった。
泣いてることを気づかれたくなかった。
だって、
“ちゃんとやる”って決めたから。
2人が戻ってくる場所を、壊さないように。
莉犬は――笑ってなきゃ、いけないんだ。
静かに、静かに。
彼の中で、何かが壊れた音がした。
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