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第十章 エルミナの森
三日後。
王立魔法学院正門前。
朝日が昇る中、一台の馬車が待機していた。
「みんな揃っているね。」
ルークが穏やかに微笑む。
集まったのは、
ルーク。
ノア。
レオンハルト。
ツララ。
そして、ねね。
「では、出発しましょう。」
馬車がゆっくりと王都を離れていく。
馬車の中は思っていたより静かだった。
ツララは窓の外を眺めている。
「王都の外に出るのは初めて?」
向かいに座るルークが優しく尋ねた。
「はい。」
「小さい頃は屋敷で過ごすことが多かったので……。」
「そうだったんだね。」
ルークは少し考え込む。
「では今日は、景色も楽しんで。」
ツララは嬉しそうに笑った。
「はい!」
その笑顔を見て、ルークも自然と笑みを浮かべる。
その様子を見ていたレオンハルトが、小声でノアに話しかけた。
「……会長、よく笑うようになったな。」
ノアも小さく頷く。
「ええ。」
「最近は特に。」
ねねはその会話を聞いていたが、何も言わず静かに紅茶を口にした。
一時間後。
「到着しました。」
馬車が止まる。
目の前には、緑豊かな森が広がっていた。
「ここがエルミナの森です。」
小鳥のさえずりが響き、澄んだ風が木々を揺らしている。
「綺麗……。」
ツララは目を輝かせた。
「本日の依頼は二つ。」
ルークが地図を広げる。
「一つ目は薬草採取。」
「二つ目は森の巡回です。」
「危険な魔物はほとんどいませんが、油断は禁物です。」
全員が頷いた。
「では二人一組で行動します。」
ルークがメンバーを見る。
「レオンとノア。」
「了解。」
「ルミアーナ嬢は――」
一瞬考え、
「私と一緒に来てくれないかい?」
「えっ?」
ツララは驚く。
「よろしいですか?」
「もちろんだよ!」
「ねねさんもご一緒に。」
「承知しました。」
こうして四人は森の奥へ歩き始めた。
森の中は静かだった。
木漏れ日が差し込み、小さな花々が咲いている。
「綺麗ですね。」
ツララはしゃがみ込み、小さな白い花を見つめた。
「この花……。」
ルークも隣にしゃがむ。
「スノーフルール。」
「冬が近づくと咲く珍しい花だよ。」
「花言葉は”希望”。」
「希望……。」
ツララは優しく花に触れた。
「素敵なお花ですね。」
その横顔を見たルークは、一瞬だけ見とれてしまう。
(……綺麗だ。)
すぐに視線を逸らした。
(何を考えているんだ、私は。)
「会長。」
ねねが静かに声をかける。
「少し様子がおかしいです。」
ルークの表情が変わる。
「どうしたんだい?」
「森が静かすぎます。」
確かに。
さっきまで聞こえていた鳥の声が止んでいた。
風も止まっている。
ルークは剣の柄に手を添える。
「ルミアーナ嬢。」
「私の後ろへ。」
「はい。」
その時。
ガサッ。
茂みが揺れた。
ツララは思わず振り返る。
「誰か……います。」
姿を現したのは、一匹の小さな白い狐だった。
「きつねさん!」
ツララがしゃがむと、白狐は警戒する様子もなく近寄ってきた。
「かわいい……。」
そっと頭を撫でる。
白狐は嬉しそうに目を細めた。
「珍しいですね。」
ルークも少し驚く。
「普通なら人には近付きません。」
すると白狐は突然走り出した。
少し進んでは振り返る。
まるで、
「ついて来て。」
そう言っているようだった。
ツララがルークを見る。
「追いかけてみませんか?」
ルークは少し考えたあと、頷く。
「行こうか。」
しかし。
その先に待っているものが、
彼らの運命を少しずつ変えていくことになるとは、
まだ誰も知らなかった――。
第一巻 第十章 完
📖 次回 第十一章『白狐の導き』
白狐が案内した先で、ツララたちは古びた神殿の遺跡を発見する。そこには「氷の花」を思わせる不思議な紋様が刻まれているが、その意味は誰にも分からない。ただ一人、ツララだけが、その紋様を見た瞬間にどこか懐かしさを感じるのだった――。
コメント
1件
おお、最新話読んだよ!エルミナの森、すごく雰囲気が出てて良かったわ。ツララが初めて王都の外に出て、スノーフルールに触れて「希望」って花言葉に感動するシーン、めっちゃ可愛かったし、ルークが一瞬見とれるのも「おっ」てなった(笑)。白狐が出てきて導かれるまま進む展開、ワクワクするわね!次回の遺跡と氷の花、どう繋がるのか気になる~。ゆねちゃん、続き楽しみにしてる🔥
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