テラーノベル
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“吾輩は猫である”という物語があるだろう。
なぜ”猫”なんだ?別に…犬や人間だっていいじゃないか。差別だ。
ならば、あえてこう言おう。
“吾輩は犬である”と。
それもゴールデンレトリーバーだ。
まあ、吾輩の話はいいんだ。ところでだが、やはりこの街はいい街だな。
後ろから「にゃ〜」という声が聞こえる。
…黒猫はいるがな。
塀の上をトコトコと歩いている。
全く…猫は考えていることがわからん。
それにこいつは、夜の街も歩いているのだ。なぜ昼間も散歩する?
…考えるだけ無駄だろう。
「ね〜お兄ちゃん。今日も行くの?」
「…まーな。コンビニ寄って帰るわ。なんか買って欲しいもんとかある?」
「アイス」
「どうせまた、部屋で食べるんだろ?」
「当たり前じゃん」
「やれやれ…」
あの兄妹は面白い。楽しみ方が正反対なのだ。
ブゥゥーン。と後ろからタクシーが通ってくる。
あそこにいる運転手は、昼も夜も働いているな。相当、その仕事が好きになったのだろう。
テクテクと街中を歩いて行く。
木陰のベンチに座っている女性がいる。
「……やっぱ綺麗だな。でも、夜の方が好き……かも?」
あそこにいる女性は、ただの木を綺麗と言う。なかなか面白い感性だ。
「待ってよ〜」
「早く行こうぜ!昼の神社なら怖くないって!」
あそこにいる少年少女は、昼でも元気だな…肝試しの後、こっぴどく怒られたらしいが。
公園を後にして、家に向かう。
さて…そろそろ吾輩もやらなければならないことが……
「…いい感じの睡眠導入音源ないかな。できれば雨の音」
「私の深夜カップラーメンの話とか?」
「それはもう聞いた。しかも、絶対寝れないだろ」
「えー」
……人間は盛んだな。あれか、ヒューヒューという奴なのか?主人がよく読んでいた漫画にあったぞ。
そんなことを考えていると、家に着いた。
…さて、やるべきことをやるか。
中に入る。ドアも開けずに。
まだ主人は帰ってきていないのか。仕方ない、待つか。
どれくらい時間が経っただろうか。気づけばもう暗くなっていた。
「…ただいま」
おお。主人ではないか。久しぶりのような…少し痩せたか?
「……ムク」
…まだ引きずっているのか。仕方ないだろう。生命とはそう言うものだ。
と言っても、この主人は納得しないだろうな。全く。手のかかる主人だ。
…悪くなかったぞ。主人との時間も。
初めは、吾輩の命をプレゼント扱いするか!などと思ったが…正直、相当楽しかった。
…だから、そんなにメソメソするでない!
ワンワン!と鳴くが…聞こえていないだろう。
…今日はそばにいてやろう。特別だぞ。
昼から夜に、夜から昼に廻っていくこの街。夜の街があれば、昼の街もあるでしょう。きっと。
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#オリジナル
えれめんたる
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コメント
3件
わあ、もう読んじゃったよ〜😭💕 犬の視点から見た街の風景が、すごく優しくて温かい…!黒猫との対比とか、兄妹の何気ない会話とか、全部が愛おしい時間だったね。最後の「そんなにメソメロするでない!」で涙腺崩壊したよ…主人のこと、本当に大好きなんだね。夜の街と昼の街、どっちも素敵な場所だって思えた。えれめんたるさん、ありがとうございます✨