テラーノベル
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※二次創作・夢小説です。
※夢主=「○○」表記
小さな港町に、潮風がやわらかく吹いていた。
○○は、石畳の路地にしゃがみ込み、目の前の二人を見つめている。
「な、なんだよ……そんな顔して見るなよこのやろー!」
ぷい、と顔を背けるのは ロマーノ。
まだ幼いくせに、やたらと意地っ張りで、やたらと強がりだ。
その隣で、ぱあっと笑うのは イタリア。
「ねえねえ○○、今日はなにして遊ぶ〜?」
無邪気な声。まぶしい笑顔。
29歳の○○にとっては、どちらも眩しすぎるくらいだった。
「今日はね、お仕事お休みだから。二人の専属お姉さんだよ」
そう言うと、イタリアは嬉しそうに飛びついてくる。
「ほんと!?やった〜!」
一方、ロマーノは眉をひそめたまま。
「べ、別に来なくてもよかったのに……」
けれど、その手はそっと○○の服の裾を掴んでいる。
○○はくすっと笑った。
「ロマーノは、私がいないほうがいいの?」
「そ、そんなこと言ってねーだろ!」
真っ赤になる頬。
強がりな子ほど、寂しがり屋だと○○は知っている。
三人で丘の上まで歩く。
海が一望できる、ロマーノのお気に入りの場所だ。
イタリアは花を摘みながら鼻歌を歌い、
ロマーノは石を蹴りながら、ちらちらと○○を気にしている。
「なあ」
不意にロマーノが口を開いた。
「○○は……どっか行ったり、しねーよな?」
その問いは、子どもらしからぬ不安を帯びていた。
○○は一瞬だけ言葉に詰まる。
わたしは人間。
この子達とは、違う。
この世界にずっといられる保証なんて、どこにもない。
それでも、今だけは。
「行かないよ」
しゃがんで、彼と目線を合わせる。
「少なくとも、君たちが笑ってる間は」
ロマーノはぐっと唇を噛み、そっぽを向く。
「……じゃあ、笑っといてやる」
「わ!にーちゃん照れてる〜」
「う…、うるせぇ!!」
イタリアの無邪気な笑い声が、丘に響いた。
夕暮れ。
オレンジ色の空の下、三人の影が長く伸びる。
イタリアは○○の腕にぶら下がり、
ロマーノは反対側を無言で歩く。
その小さな体温を、○○は両腕で感じていた。
(守られてるのは、私のほうかもしれないな)
大人になって、忘れかけていたもの。
無条件で向けられる信頼。
まっすぐな想い。
「また明日も来る?」
イタリアが見上げる。
「……来いよ」
ロマーノは、そっぽを向いたまま。
○○は微笑んだ。
「うん。約束」
潮風が三人の間を優しく通り抜ける。
幼い二人の未来が、どうか穏やかでありますようにと――
○○は、静かに願った。
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