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樹氷というか雨氷というか。
寒いならではの光景を楽しみながら歩く。
だんだん周りが開けてきた。
背後には大山、その右側には関東平野の一部が見える。
30分位歩いて、ちょっと道が曲がって広くなったところで停止。
「さて、ここからはアイゼンを付けましょうか。もうすぐ風通しのいい稜線に出ますから」
そんな訳でアイゼン装着。
ただ、ベルト式はきっちり付けるのが難しい。
「付けたら念の為、足を動かしながら何歩か歩いて、また緩んでないか確認して下さい。ベルト式はとにかく緩みやすいので、念には念を入れて下さいね」
数分掛けて、しっかり全員で確認してから、また紅茶を飲んで歩き始める。
ちょっと行くと坂が急になった。
確かに、ここからはアイゼンがあった方が楽だ。
急だし、所々凍り付いているし。
ピッケルも使って、一歩ずつ確実に登る。
後はかなり開けてきた。
見た感じでは、もう背後の大山より高い感じ。
実際にはこっちの方が低いはずだけれど。
左側に海が見えている。
「あの島みたいなのは江ノ島だよね」
「そうですね」
ならその先は鎌倉とか、うちの学校の方だな。
あのあたりは自転車で走ったな。
そんな事を考えながら登り切ったら、二ノ塔の山頂だった。
まだ雪が無い時に一度来たことがあるが、今回は雪景色だ。
「思った以上に雪が積もっていますね」
「でも相変わらず、ここからの見晴らしはいいのだ」
富士山までくっきり見える。
そして、海に反射した太陽が光っている。
これから登る三ノ塔までの道も、はっきり見えた。
その先、塔ノ岳まで山が続いているのだけれど、山の陰で見えない。
「そのベンチの雪が無かったら、ちょうどいいのですけれどね」
20センチ以上の厚さで雪がのっかっている。
「さて、今日の目的地まで、あと一息ですよ」
雪が無い時は、確か20分かかるかどうかだったな。
「アイゼンバンドの緩みを確認しておけよ。すぐ緩むから」
先輩に言われて確認。
少し緩んでいたので締め付ける。
今回は歩き始めが、少しだけ下り。
ただ下りだと、アイゼンのありがたさがよくわかる。
登りは足の置き方とか色々考えられるけれど、下りはそれでも滑ることがある。
でもアイゼンを付けていれば、その心配は無い。
強いて言えば、アイゼンの底に雪がくっつくのが問題かな。
まあ、ピッケルで時々叩いて落としてやればいいのだけれど。
それはそれで、日常にない感覚で楽しいのだけれど。
「雪がある方が歩きやすい気がするのだ」
「今回はちょうどいい感じですね。適度に人が歩いて、踏み固めている感じですし」