暗殺ターゲットとナイト
薄暗い夜の館では、廊下の蝋燭が辺り一面に火を灯している
火の明かりで照らされた廊下からは、またもや金属の擦り合う音が響いた
ロボット達が集まり、見つめる目線の先には
どこからか持ってきた斧と、小さなナイフ、ライフルで殺し合いをしている男女の姿が伺えた
「……っく!重て…ッ!!そんなの使って恥ずかしくないのかよ!!」
「お前こそ…その物騒な銃使おうとして恥ずかしくないので??」
至近距離まで詰められるため、ほとんど斧とナイフで戦っている状態、いくら距離を離してもライフルで仕留められるのを分かっているからか、一向に離すことが出来ない
しまいに、ナイフが飛び、首元に斧の先が差し出された
「勝負ありましたね…このまま暖炉の材料にでもしましょうか」
「……ハッ!首を落とした瞬間に…首の無くなった体を使ってお前をライフルで打ち砕いてやる!」
「お、お二人とも!おやめください!!」
「ッおい!!決着が着く時になると邪魔してくるのやめろ!!メイド!!」
怒りの声は届かず、ロボットは話を丸無視をした
「お手当て致しますので手を出してください」
「触るな!!こんなもの治療する必要も無い!!」
「あっ…!!ちょ!人間様!!」
邪魔をされたのが腹立たしいのか、ベットに飛び乗り、布団に潜り込む
「あとその呼び方やめろ!胸糞悪い!」
「で、ですが我々…貴方様の名前が分かりませんので…」
少し考え込むが、相手がロボットってこともあり,結果は既に決まっていた
「知るか!!」
布団に潜り込んだ姿を見ながら…ロボットは彼女に質問をした
「あの…ここでの生活は慣れましたか?」
「何言ってんだよ殺し合いしてる環境で…」
布団から少し顔を出し、これまでの暮らしを振り返るが、出てくるのはあの男に殺されかけるか殺せる場面ばかりで、最後は必ずコイツらに止められた
「そ、それもそうでしたね…!!」
「あの男がいる限り安心出来ない…ここのいい所はベットと飯くらいだ」
またも布団に潜り込むと、ロボットの音声が部屋中に悲鳴のように響いた
「て、手当ての方を!!」
そんな言い合いをしている真っ只中…
屋敷の門前では重たい何かを引き摺る音が辺りに響いていた
フードを深くまで被った者は、性別は愚か、人間なのかすらも分からない
門を見上げるその目は…奥まで真っ暗だった
「sumo…奴はここだな…」
「いいですか、傷口が治るまでは安静にお願いしますよ!」
布団に潜り、ろくに返事も返さずにじっとしている。
そんな様子を暫く見つめ、扉をゆっくり閉める
部屋を出ていったのを確認すると、布団から飛び出し半場急ぎ気味に窓を開けた
「……すごい殺気だ…あの男か?」
外を見つめるも3階の為、下を見ることは愚か,真っ暗で当たりの様子を観察することすら困難だ
(仮にこの殺気があの男だとすれば……護衛になる武器は持っておいた方がいいな)
普段の就寝時間ではあるが……扉を開け廊下へ出ようとする。
だがそこで初めて何かがおかしい事に気が付いた
(蝋燭が……消えている)
普段朝まで辺りを照らしている灯りが,廊下の端の方まで消えていた
それにあれだけ沢山いたロボットの気配すらも感じない
まるで皆消えてしまったかのようだ
普段とは違う唯ならぬ気配を感じながら、愛用の武器を取りに、2階へと歩き出す
ロボットは大抵押収したものを2階階段のすぐ横にある物置に隠す修正があった
それを知っている為武器の居所は把握済みだ
「これは…」
階段を降りた直後の事
1階まで通じる階段が、なにか重たいものに引き摺られたかのような跡が2階廊下まで続いていたのだ
それを見て、確信がついた
「あの男じゃない」
残りの段数を降り、隣の物置に入り込む
ライフルと拳銃 ナイフを手に取った時,ふと横に見たことも無いスコープが机に置かれているのが目に入った
(見た事ないな…あの男が作ったのか?)
今つけているライフルのスコープと、机のスコープを見比べる
長年使っていた為、多少まだ使えるが、ヒビが入ってる為狙いが良くない時が多々あったのを思い出す
「有難く貰うか」
ライフルのスコープを取り外し、新しいスコープに変える
付け替えも簡単の上、覗き込むと以前使っていたものより遥かに良く見えやすい.
「よし……しかし使いもしないのに何故こんなものを__」
すぐ側で重たい爆発音が響いた
床と天井が揺れると、音は更に続いた
「クッソ!!」
物置を飛び出し、音のする方へと走り出す
走っていくと、揺れは激しくなり同時に音の出処の正体がだんだんと分かって来る
あいつの部屋だ
以前あいつと出会ったあの場所。1番奥の部屋だ
引き摺られた跡はそこら中を動き回っていたようで,次第に男の部屋の前で途切れていた
部屋前の廊下には大きな大砲,そして隣に見知らぬ人影が占拠していた
部屋は砲弾で壁も床も破壊されており男の部屋が剥き出しになっている
最近の大砲も進化したものだ…レバーを下げるだけで弾が放たれるのだから
レバーの動きを止めず無我夢中で大砲を打ち続けている者に、声を掛けた
「目的はなんだ?」
動きが止まり、後ろを振り向くがフードで素顔が見えない
大砲から手を離さないまま,そいつは低い声で答えた
トーンからして男で間違いないだろう
「見て分からないの?sumoを破壊してる」
「余計な事をするな。男を殺すのは私の仕事だ」
「勘違いしてる所みたいだけど…生憎俺は何処にも所属してない sumoが邪魔だから殺しに来た」
どこかの記憶で無線機越しに聞いた事がある
sumoを滅亡とさせる組織はいくつも存在すると
ある所は大勢で、またはこうやって単独で…それぞれ,恨みや復讐,横取り等と狙ってくる奴らは多く、目的に反って、力を合わせるものも居れば、目的が合わず殺し合いになるケースが多発していた事
が、しかし同じ目的を持った人間に会うのは初めてだ
再び男の部屋へ目線を向けると只管に大砲を打ち込む
「聞こえなかったようだ…子供は家に帰れ」
「……それって俺の事?」
大砲が天井を向き、そしてこちらに向けられる
「選択権をやるよ、1、俺の邪魔をせずしっぽ巻いて逃げるか、2、無駄に命を落とすか」
大砲を目の前に向けられても
顔色ひとつ変えずに選択肢を増やして答えた
「3の、迷子を家に届けるのはどうだ?」
それを合図に、大きな音と共に弾がこちらに飛んでくる
大きい弾を避けるなんてこと造作もない
仕込んだ拳銃を取り出し、手元のレバーを破壊する
「…よし、これで打てないはずだ」
言葉通り、次の弾が飛んでくることは無かった
動かなくなった大砲から手を離す
「やっぱ慣れないものは使うもんじゃないね…」
フードの着いた服を脱ぎ,大砲に綺麗に乗せる
ごく普通の青年の顔をした男は背中から何やら長い銃を取り出す
「やっぱこれだ…」
見たことも無い銃だ
ギラギラとブルーと黒が混じったような銃
「どう?かっこいいでしょ…一から自分で作った」
_銃口を向けられる__
目で捕えら体を身構えた瞬間…腹部から重い痛みが走った_その数秒後に、弾の放たれる音が廊下中に響いたのだ
「ガハッ…ッ!!…」
よろめきながら、お腹を抑えた手を見ると…出血していることがわかった
「馬鹿にしない方がいいよ,そこら辺の人間よりは使える脳だから」
弾を詰め直しながら男は喋り続ける
「俺の銃は音より弾が出るスピードが速い…それに勢いも抜群だから、避け切るのは不可能」
遂にはバランスを崩し壁にもたれるとそのまま床に座り込んでしまう
そこから、血の池ができ…中央に座り込んだ女目掛け、男は容赦なく銃口を向けた
「とんだ無駄死にだよ、逃げればまだ生きれたのに」
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