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豪と初めて会ってから、三ヶ月ほどになった。
季節は夏に移り変わり、街には半袖やノースリーブ、ミニスカートや短パンなど、薄着の人で溢れている。
彼とは、ほぼ毎週土曜日にお泊まりで会い、口淫するだけの関係が続いていた。
会うのはラブホが多いけど、いかにもって感じのラブホではなく、落ち着いた雰囲気の所で過ごす。
たまに、シティホテルに宿泊する事もあるけど、奈美は彼と過ごせるのなら、ラブホでも充分だった。
この三ヶ月間で変わった事は、自慰行為の回数が激減した事、女性向けAVサイトを見なくなった事、スカートを履くようになり、下着にも気を遣うようになった事。
豪が彼女を呼ぶ時、『奈美さん』から『奈美ちゃん』に変わり、落ち着いた大人の雰囲気の人と思っていた彼が、実は甘い一面を持つ人だった。
豪はよく、奈美に触れる。
彼女の髪や頬に触れ、手を繋いだり、時々抱きしめてくれる。
出会った日から豪に魅かれ、恋心を抱いている奈美は、とても嬉しい。
こんなに触れられたら、もしかしたら彼も奈美に好意があるのでは? と、勘違いしそうになるくらいに。
彼女のこの想い、豪には言えない。
奈美と豪は、ただ舐めて舐められるだけの関係なのだから。
それでも、会おうと連絡が来ると、心が弾けて小躍りしたくなる。
この日は、豪からデートみたいに過ごしたいと提案があり、ドライブする事になった。
いつも会う立川駅周辺ではなく、豊田駅まで迎えに来てくれるという。
朝十時に駅前のロータリーで待っていると、目の前に白のSUV車が滑り込んできた。
運転席から降りてきた豪は、サングラスをかけ、黒のVネックTシャツにインディゴブルーのデニムという格好で、助手席のドアを開けてくれる。
「おはよう、奈美ちゃん」
「おはようございます。すみません、こっちまで来てもらって……」
「気にしないで。じゃあ、行こうか」
(うわぁ…………豪さん、色気があってカッコ良すぎでしょ……)
Vネックから覗く首筋に、男の艶を感じた奈美は、気後れしながら助手席に乗り込んだ。