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#三角関係
霞花怜
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いつものように遊びに来いと言われた照の部屋の寝室で。
「おいこれどういう状況だよ」
「……………」
高校時代から見知った、いや、ジュニア時代を遡ればもっと昔から知っている男が、俺の上に跨り、俺を見下ろしている。
少し生意気な顔。
ぶすくれた表情。
口元をひん曲げて、男は言った。
「ふっかがいつまでも気づかねぇから」
「……なんのことだよ」
声が震える。
「冗談はやめ、」
あっという間に無理やりに唇を重ねられた。
……熱い唇が俺に熱を伝える。
ねっとりと、執拗に何度も重ねられた柔らかさに、驚きとともに、諦めに似た感情が胸に湧いた。
わかってた。
コイツが、俺を求めてること。
わかってた。
自分の気持ちに確信を持てない俺が、コイツをなんとなく交わし続けてきたこと。
「照、止めろ」
間断なく繰り返される口付けの合間に、何とか意思を紡いで、照の胸を押した。それでもぎゅうぎゅうと迫ってくる胸の圧に、非力な俺が対抗できるわけもなかった。
「止めない。嫌なら、本気で抵抗しろよ」
「本気だって!……こンの、馬鹿力!!!」
渾身の力を込めて胸を押せば、照はようやくキスを止め、身体を離した。跨っていた大男の重力から解放される間際、一瞬、照のソレが、ぐりっと俺の腹に当たった。
「………勃たせてんじゃねぇよ」
照は応えない。
ぶつかって離れた視線の奥に、熱い欲望がほんのりと、しかし確実に滾っていたのを感じて、思わず怯みそうになるが、なんとか堪える。
「俺の気持ち…ふっかは気づいてるでしょ?」
「照の気持ち?」
「うん」
急にしゅんとなって、項垂れる大型犬が隣で俯く。さっきまでの大胆で強引な行動とは裏腹に、発せられる声が気弱で、健気で、可愛らしい。こういうギャップも照の魅力だと思う。
照は拒絶された後も、俺から離れずに大人しくベッドにちょこんと座っていた。
起き上がり、隣りに腰掛けた。
照の目は見ずに、並んで、座って、声を掛けた。
「あのさ」
「うん」
「照が事あるごとに俺をパートナーに選んでくれたり、何かと遊びに連れ出してくれたり、こうやって俺の隣りにいてくれたりするのはさ」
「うん」
「つまり、その…」
肝心なところで言葉が止まってしまう。
軽口ならいくらでも叩けるのに、こういう雰囲気は苦手だ。
特に照相手にこんな話をするなんて心の準備が足りなかった。
照は、黙ったまま口を挟まない。
お互い何となく下を向いたまま、所在なげに脚元を見て、その場に落ちる言葉を確かめるような時間が続く。
俺も確信的なことを言うのはやっぱり怖くて、なんとか言葉を振り絞るのに長い時間がかかった。
「照が俺に勃ったり、すんのもさ……そうゆうこと?」
「恥ずかしいからあんま言わないでよ……」
大きな手で、やや赤くなった自分の顔を覆う。
色が黒いからあんま目立たないけど。
そんなことをぼんやり思いながら、 話の流れで、ちらり、とつい改めて見てしまった照のソコは、どうやらもう落ち着いていた。
ほっと息を吐く。
「照は俺のことそういう対象として見てるわけ?」
「………………見てる」
「!!!まじかよ!!!」
照の答えに、思わず大きな声が出た。
形容し難い気持ちが口をついて出た形だ。
照の方が驚いて、少しびくついてから、俺を見た。
横座りになってから、初めて目が合う。
「俺、ふっかのこと、好きなんだけど。俺、このことずっと言ってたし、態度にも出してたよね?」
「いや、まあ、そりゃそうなんだけど、え?まじ?まじなの?」
「まじだよ」
「まじかぁ〜〜!!!!!」
「なんなの?まじ、まじ、って…」
「だってわかんねぇじゃん、そんなの」
「好きってこと?」
拗ねる照に、今度は黙る。
照の顔をまじまじと見つめる。
照も俺の様子に気づいて真顔になった。
「好き、って言葉だけじゃ、どっちかわかんねぇじゃん」
「だから、好きだよ。愛してるの意味の『好き』だよ」
「付き合いたいって意味の好き?」
「うん」
「一生一緒にいたいとか、家族になりたいって意味の好き?」
「そうだよ」
照の逞しい腕が俺を引き寄せたかと思うと、また、息がかかるところまで、また、顔が近くになった。
もう逸らせない目線に、ずっと言えなかった気持ちを伝えるなら今しかないと腹が決まった。
「わかんねぇもんよ、そんなの」
「ふっか」
「照」
「ふっかは、俺のこと好き?」
上から強引に見下ろされてるのに、その目はどことなく自信なさげで仔犬のようだ。
今日まで肝心な明言を避けてきた俺の、無責任に何となくへらへらと済ませてきた俺のツケが一気に今この瞬間に回ってきた感じだった。
「ねぇ、ふっか答えてよ」
「…………………」
「これって俺だけなの?」
「……………………………」
「ふっか」
今この手を取らなければ俺たちの間で大切な何かが終わる気がする。
「おれは、」
「……………………」
正直、本音を言えばもう少し自由でいたかった気もした。
仲間同士、馬鹿話をしたり、男友達として無邪気に遊んだり。
「俺も、好き」
最後まで告う前に、照の唇が今度は優しく重なった。
◇
「おお、ふっかさん、綺麗やなそれ。そんな指輪持ってたっけ?」
「ああ。最近買った」
「どっかで最近同じやつ見た気がすんねんけど…」
「気のせいだろ」
おそろのリングを目敏く見つけた康二を、軽く交わしてストレッチを始める。
「そろそろ始めるよー」
リーダーの照の声がレッスン場に響いて、その指に煌めく指輪を見た康二が何か言い掛ける前に、俺は照の方へと駆け寄って行った。
コメント
18件
いわふか〜👏👏👏 ありがとう💖💖💖
💛💜めずらし!と思ったら吐き出したかったのねw
ペアリング!!?😍可愛すぎます…♡ 💛💜ありがとうございますッ❣❣