テラーノベル
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さらに完全に下りる前に、先輩が山芋のムカゴを発見。
これもしっかりキープして下山。
「私も気を付けているのですけれど、やっぱり気づかないのです」
「多分、来年には気づくようになると思うよ。私もそうだからさ」
そんな事を言いながら、人家近くの細い道路を通って。
川を渡って、向こう側の楠木山へ。
「今度のドングリは、もう見た目ですぐ違いが分かる。とにかく細くて丸みがない。そんな訳で距離は短いけれど、頑張って拾ってくれ」
ということで、再び登山開始。
「一度降りると、登るのが結構大変なのだ」
やっと亜里砂さんも疲れを感じてきたようだ。
「今度の登りは大したことないからさ。それにこっちの山の方が、ドングリを拾うのが楽な筈だ。それに先生の家も近いしさ。まあ、のんびり行こうや」
確かにドングリが見つけやすい。
多少道から外れていても、すぐに見つかる。
ただ、ドングリそのものの数が、先程に比べるとあまり多くない感じだ。
「昨年が大豊作だったから、その分今年は少ないかな。ドングリは大体、豊作と不作を毎年繰り返すからさ」
「でも、拾いやすいし見つけやすいのですよ」
未亜さんがそんな事を言う。
「何故、見つけやすいと思う?」
先輩がそんな事を聞いた。
何故だろう、僕も考える。
確かに未亜さんの言うとおり、こっちの方がドングリを拾いやすいのだ。
でも、何故かと言われると……
「下草が少ないのです。他の植物があまり生えていないのです」
やっぱり未亜さんは、わかった模様。
「正解だ。さすが未亜」
先輩がパチパチと拍手をして、続ける。
「その通り。スダジイの林に比べると、マテバシイの林は下草が圧倒的に少ないんだ。理由は簡単で、マテバシイの方が葉っぱが茂って、下に日光を通さないんだな。だから結果的に下草が生えず、おかげでドングリが拾いやすい。
まあ、私も昨年、先輩にこのことは聞いたんだけれどさ。その時、同じ質問をされたけれど、私は未亜みたいに理由を答えられなかったな」
そうか。
確かに、あまり草が生えていないのだ。
だから道でない処に落ちているドングリにも気づける訳か。
「この辺のマテバシイは、元々生えていた物ではなく、植樹されたものだそうだ。マテバシイの木が東京湾のノリの養殖のホダ木にちょうどいいらしくてさ。何故そうなのかは私も知らないけれど。
ただ、そんな訳でマテバシイの林は歩きやすいし、ドングリを探しやすいけれど、お宝はそんなにない。蘭の仲間で日光を嫌う種類が、ある程度生えるらしいけれどさ。
以上でウンチクは終わり。拾いやすいし大きくて使いやすいから、とりあえず拾えるだけ拾って帰ろうぜ」
そんな感じで。
不作という割には、それぞれそれなりの量を拾って。
山を下りきったところから、10分も歩けば見覚えある先生の家だ。
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