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学年一の優等生様には
才能がないらしい。
# prsk夢小説注意
# 魔法学園パロ
2024-09-11
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昔の僕は、意識を5時間保てれば良い方で、
悪い時は30分にも満たないと言われ、
起きている時間より
寝ている時間の方が圧倒的に多かった。
…いや、もはや寝ていると表現して
良いのかも分からない。
意識を失っていると言っても差し支えない
その状態が多くなる日が何年も続いた。
それでも僕が今生きているのは、
紛れもない”先生達”のおかげだ。
今だと…丁度僕たちの親世代の年齢ぐらい。
先生達が僕を守ってくれて、
生かしてくれていた。
当時のお偉いさん方は
かなり反対したそうだ。
『こんな奴に時間をかけていては無駄』
『頭を使え』『こんな奴、外に捨ててこい』
僕は覚えていないが、一昨年先輩が
この学園の伝説だよと教えてくれた。
絵名さんの意識は一向に回復せず、
むしろ顔色が悪くなっているように見えた。
そろそろ魔力が切れそうだから、
治癒魔法も使えなくなる。
そしたら、頼み綱は無くなる。
正確に言えば保険医が居るが、
正直あの人には頼りたくない。
というか関わりたくない…けど、
絵名さんの為だ。必要だと
判断した時にはちゃんと頼ろう。
腐ってもあの人はここの学園の先生だから。
数分後。
「…絵名、さん」
予想通り、僕は魔力切れを起こし
指2本動かすので精一杯だ。
それでも治癒魔法は辞めない。
これを辞めたら、絵名さんは…
そう思うと、嫌でも辞めれなかった。
「…『ライフ・ポーショ」
「ゲホッゲホッ…」
目を開けると少しの血。
多分僕の喉が切れたんだろう。
不思議と痛くはなかった。
痛みよりも絵名さんを助ける方が
今の僕にとって大切だから。
「…っ、」
でも、そろそろ限界だ。
最後の力で、絵名さんに杖を向け、
治癒魔法を使う。
「…『หจวเขขจาลมชา่จบ0҈҉̳̳̳อเจ」』」
杖を絵名さんに向けると、聞いた事のない
呪文が口から飛び出してきた。
その瞬間、杖の先端は黒く染まり、僕と
絵名さんを中心に部屋全体を光で覆った。
「…ぁ」
最後に出たのは、腑抜けた声だった。
「ん…」
目を開けると、1面真っ白な天井が
真っ先に飛び込んできた。
視界はボヤけていて、
何が何だか分からなかった。
「ここ、は…」
何度か瞬きをした後、ここが
何処かを理解した。
「…保健室…?」
足と手は動かず、視線を動かすと
沢山の管が繋がっていた。
「…うげ」
「あ、起きたのか」
シャッとカーテンを開ける音がして、
反射的に身を構える。
「…なんだ、保険医か。」
肩を落とし、姿勢を崩す。
「なんだとはなんだなんだとは!」
保険医はふざけているのか本気なのか、
白衣をバタバタとはためかせている。
「…保険医、僕に何した?」
「あーっと、…”治癒魔法Ⅱ”と”III”、
それと薬を少々。」
「はぁ…薬ってどれ?」
髪をかきあげながら、僕は保険医に聞く。
「前に開発したB334。」
保険医はファイルを見ながら答えた。
「…それならいいか。」
「で?何したの、あんた。」
「何したって何が?」
首を傾げながら問う。
「あんた、昨日の放課後
何してたかって聞いてんの。」
「…昨日の、放課後?」
「…確か、友達と空き教室に居て、
それで…友達が倒れて…」
「…倒れて?」
「んー……」
その先が覚え出せなかった。
何度考えても、出るのは
絵名さんが倒れた所まで。
「…もしかして、思い出せない?」
「あ…うん。」
「はぁ…面倒い事になったな」
「何か?」
「何もー」
「…他に覚えているとこは?」
「…あ、僕の杖が、黒くなってた…とか?」
「は!?!!?」
保険医は作業していた手を止め、
一気にまくし立てる。
「どのタイミング!?どのくらいの濃さ?
それとも薄さ!?発動した属性魔法は!?」
「ちょ…ちょっと、うるさい…」
「あぁ、ごめんごめん。
でも黒ってどういうこと?」
保険医がそうなるのも無理はない。
通常、杖の先端が
黒く染まるなんて無いから。
ありえないから。
「どうって言われても…意味分かんない
呪文が口から出てきて、それを
言い終わったら急に杖が黒に染まって…」
「意味分かんない呪文?」
パソコンで調べ物をしている保険医は、
文字を打ちながら聞いてくる
「うん。聞いたことない。」
「読書好きのあんたが知らないって、
相当な魔法ね。属性も分からない?」
「うん。黒なんて初めて見たし。」
杖の色は、毒魔法を使うと杖の先端が
紫色に染まって、同様に火属性魔法は赤、
水魔法は青、氷属性魔法は白、治癒魔法は
ピンクに染まる。体調確認などの
『その他』に分類される魔法はそのまま。
つまり、黒色はなる訳が無い。
訳があったとして、どうして僕の杖が
黒色に染まるのか。
不明なことは多くて、横にいる保険医は
頭を抱えていた。
「…心当たりは?」
「心当たり…」
そう言われて僕の頭に浮かんだのは、
2人の人物だった。
「…あるのね?」
「うん、まぁ」
曖昧な返事をしながら、
外を見る。
外は冬に相応しい、白色の世界だった。
一般的には銀世界と
呼ばれているその景色は、
多分僕が見た中で
2番目位に綺麗だった。
「誰か教えてくれる?」
「…僕の__」
その言葉を口にした時、
保険医から出たのは乾いた笑いだった。
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