浅い眠りは夢を見る
だが時に
こんな言葉がある
“ 深い眠りにつき、夢を見た “
なぜ深い眠りで夢を見たと思うのか
日本語とはどうも綺麗だ
そして変なのだ
矛盾している
全てが全て
浩「……カツカツ」
矛盾で構成された世界
国のお偉いが国民のためという
でもいざとなった時、
優先するのは自分の地位だけ
笑えるよ
ほんとに
浩「……玲太…ボソッ」
夢の中の幸せに
呼びかける私はなんて馬鹿なんだろうか
空一面が青に染る快晴
日差しが痛くて無意識に日陰を探す
ci「はぁ”ッ…!はぁ”ッ…!」
ci「これ何処まで歩くんですかッ?!」
浩『うるさいぞ、駄犬』
ci「そらぁ”ッ!こんッッッなクソ暑いところ歩かされてたら駄犬も吠えますよッ!💢」
汗が額から流れ地面に落ちる
いくら袖をまくっても
暑さは収まらない
浩『それだけ声が出ているなら大丈夫だろう』
ci「そもそもぉ”ッ!何でアンタは車なんだよッ!」
浩『”私の金”で”私が乗る”、これのどこに問題がある?』
ci「犬の散歩する時にリード離して散歩するわけがないでしょうッ!💢」
浩『そうかいそうかい、そろそろ腕が疲れてきた』
浩『ではまた後で…プツン』
ci「あ”ッ!」
ci「あんッッッのぉ”ッ~…!」
クソ上司ぃ”~!
車窓に映る群青色の世界
東京から依頼主のいる群馬まで足を運ぶ
稲が綺麗な緑を見せつけ
子供は楽しそうに走り回っている
運転手「ここに来たのは初めてですかい?」
浩「あぁ、仕事できたもので」
浩「何故そんなことを?」
運転手「実は私の出身がここでしてねぇ」
運転手「なにか気になることがあればとニコ」
温厚な喋り方をする歳いった男
浩「…先程から思ったんだが、ここはやたらと祠が多いな」
運転手「ここらへんではねぇ…ある神様を祀ってるんですよぉ…」
浩「神様?」
運転手「はい…熊の形をした神様でして…」
運転手「代々この街を疫病やら災害から護ってくださっていたんですよ…」
浩「ほう…それと祠になんの関係が?」
運転手「…あの祠は偽物ですよ…w」
浩「偽物…なぜ偽物を…」
運転手「今から数百年前…神様を祀る祠を壊そうとする”祓い師”というもの達がいましてね…」
運転手「神様を守るべく…町の者はいくつか偽物を置いたんですよ…」
浩「今はどこに祠が?」
運転手「帝塚家という…昔からここの町の長を務めている家にありますよ…w」
浩「ちなみに…その神様の名前って?」
運転手「名前は…」
不喰様
浩「…色々教えてくれて感謝する」
浩「私はここで降りる」
浩「ほら、金はここに置かせてもらう」
運転手「あの…お釣りは…」
浩「町のことを私に教えてくれた礼だ」
浩「受け取ってくれガチャ…」
運転手「分かりました、では良い旅を…バタン」
タクシーは排気ガスだけを撒いて
来た道を帰っていく
浩「不喰様…ねぇ…?」
車窓から見る景色よりも
広く大きく
綺麗な群青が広がっている
浩「…ろくなこしかありゃしないよ、神だなんて…カツカツ」
浩「でもまあ…いい情報を得た…」
浩「ちょうど今日の依頼人も…」
帝塚だと聞いてなw
浩「さて…駄犬と合流だ」
ci「どッ、どうしよッ…カタカタッ…」
呼吸をする度
吐き気がする
この探偵屋に来てから
死体は山ほど見た
でもやっぱり慣れなかった
ci「浩さんに電話せなッ…!」
震える手が上手く動かせない
体が言うことを聞かない
「……ドロッ…」
ci「どうしようッ…どうしようッ…どうしようッ…!」
浩「すまない、チャイムを鳴らしても誰も返事がなくて…ガチャ」
浩「駄犬…?」
ci「浩さんッ…大変ですッ…」
ci「依頼主がッ…」
彼女は死体の転がった床を見た
落ち着いた目で
それを数秒直視していた
ci「浩さんッ…?」
浩「………」
見慣れているのか
我慢をしているのか
彼女は感情をあまり表に出さなかった
ただ
ci「(あッ…これッ…怒ってるッ…」
なんとなく
その雰囲気を読むのは俺にはできた
浩「警察を呼べ、すぐにだ」
屋敷に入ってまず見たのは
依頼主の死だった
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