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恵
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(俺の求める気持ちに、応えられない私が悪いって……なぜ……そんな事を言う?)
圭は、美花を抱き竦めながら眼差しを落とすと、彼女は腕の中で寒気立たせていた。
まるで情交ができないのは、自分のせいだ、と責めているように。
圭は美花の頭を撫でながら、色白の首筋に顔を埋め込む。
「ごめっ…………圭ちゃ……ごっ…………ごめん……なさ…………い……」
「美花は悪くない……。だからもう…………謝らないでくれ……」
涙で濡らした声音に、圭は、儚げに身体を硬直させる美花の身体を、ただひたすらに懐抱し続けた。
気付くと、窓の外に映る景色は、既に夜の帳が下りている。
黒に覆われているベッドルームが、さらに深みを増した中、圭は美花が落ち着くまで、抱きしめていた。
「圭ちゃん……。そろそろ……帰るね」
彼女の言葉で我に返った圭は、明るい髪色に視線を配る。
美花を離したくない。離れたくない。
このまま、ずっと俺の隣にいてくれればいい。
自分の軽率な行為で美花を泣かせてしまった圭は、すがるように思う。
ようやく手にした仄かに輝く光、浦野美花が、圭の手のひらから零れ落ち、消えてしまうのではないか、と、漠然とした不安が襲い掛かった。
だが、と彼は思い直す。
自宅から、美花の家まで歩いて数分ほど。
彼女の顔が見たい、と思えば、すぐにでも会える距離にいるのだ。
「…………分かった。君の家まで送るよ」
後ろ髪を引かれる思いで、圭は美花から腕を緩めると、ベッドから抜け出して立ち上がった。
圭の自宅を出た二人は手を取り合うと、徒歩で数分ほどの距離を、時間を掛けて、ゆっくりとした歩調で美花の自宅を目指した。
駅周辺の喧騒を尻目に、建ち並ぶ飲食店の列をすり抜けていく。
繋いでいる色白の手は、相変わらず冷たい。
圭は美花の手を軽く握ると、彼女も小さな手を遠慮がちに握り返してくれた。
しかし、どんなにのんびりと歩いていても、時間は等しく刻み込まれ、あっという間に彼女の自宅に到着してしまう。
「圭ちゃん。昨日と今日…………すごく楽しかった。ありがとう。またね」
「美花っ……」
自宅兼店舗の前で、美花の手がフイッと離れていき、店に入ろうとした瞬間、圭は咄嗟に彼女の名を呼んだ。