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花凜
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──会社。
女性社員A
「岩本課長〜、ここ分からないんですけどぉ」
必要以上に距離が近い。
腕に触れ、肩に寄る。
💙(……近すぎだろ)
女性社員B
「今度、飲みに連れてってくださいよ〜」
💛「……また今度な」
声は穏やかだが、視線は冷たい。
それでも、相手は気づかない。
ただでさえ仕事で忙しいのに。
あれはさすがに、しんどいだろ。
気づけば、立ち上がっていた。
💙「岩本」
全員の視線が集まる。
💙「昼、行くぞ」
一瞬の間。
💛「……ああ」
わざとらしくない距離で、隣に立つ。
女性たちの空気が変わる。
それでいい。
──────────────
──休憩室。
二人きり。
向かい合って座る。
💙「俺が来る前もずっとあんな感じなのか?」
💛「まぁな」
箸を置く仕草が、少しだけ重い。
💙「……」
💙「今度からは俺を使え」
💛「え、いいのか…?」
💙「こういうときこそ俺の出番だろ?」
💛「……ありがとな」
ふっと笑う。
そのあと。
岩本が、静かにこちらへ寄ってくる。
俺の肩に頭を乗せてきた。
💙(………は?)
💙「……おい」
💛「二人きりだ」
💛「少しくらい、いいだろ」
💙「だからこそやる必要ないだろ…」
拒む口調とは裏腹に、
払いのけない自分がいる。
ちらりと横を見る。
目を閉じている。
どこか幼くて、
昔の“完璧な岩本”とは違う顔。
……こんな顔、知らなかった。
まただ。
この時間が、心地いい。
つづく。