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第16.5話「碧族の街へ」
🚀 シーン1:戦いの後に
ゼインは、ジャケットの裾を軽く払うと、荒い息をついた。
ヴェール・バインドの戦闘部隊を退けたばかりで、体中が鈍い痛みに包まれている。
「くそっ……またギリギリだったな」
ナヴィスが黒髪を振りながら、余裕の笑みを浮かべた。
「ま、いつもそんなもんだろ?」
ゼインはナヴィスを睨んだが、すぐにため息をついた。
リオナがエメラルドグリーンの瞳を静かに光らせながら、彼らの前に立った。
「今日は、一度休んだ方がいいわ。そろそろエネルギー切れになるわよ」
ゼインは肩をすくめる。
「……ま、それもそうだな」
ナヴィスがニヤリと笑いながら、ゼインの肩を叩いた。
「じゃあ、せっかくだし“碧族の市街地”でも案内してやるよ」
🚀 シーン2:碧族の市街地
ゼインはナヴィスに連れられ、碧族の市街地へと足を踏み入れた。
そこは、まるで未来都市のような景色だった。
建物はすべて碧素の光を帯びた滑らかなデザインで統一され、宙に浮く電光掲示板が空間を埋め尽くしている。
「……ここ、人間の街と全然違うな」
ゼインが驚いた声を漏らすと、ナヴィスが青い瞳を光らせながら肩をすくめた。
「そりゃそうだ。ここは碧族が作った都市だからな。技術レベルは人間社会よりずっと進んでる」
通りには、碧族専用の店がずらりと並んでいる。
中には、フラクタルで動くロボットが接客をしているカフェや、エネルギーを吸収する植物が壁を覆ったショップもあった。
ゼインは興味深そうに辺りを見回した。
「これ、どうやって作ったんだ?」
リオナが冷静な口調で説明する。
「フラクタルを応用した建築技術よ。碧族専用のエネルギーを使えば、物質を自在に変形できる。 だから、地球の資源をほとんど消費せずに街を作れるの」
ゼインは納得しながら頷いた。
「……だから、人間と共存するつもりはないのか?」
ナヴィスが少し真剣な表情になりながら、答える。
「正直、人間と碧族じゃ住む世界が違いすぎるからな。お互い干渉しないのが一番だ」
ゼインはその言葉を噛みしめながら、再び街の景色に目を向けた。
🚀 シーン3:市場での買い物
ナヴィスが突然、ゼインの腕を引っ張った。
「お、せっかくだし市場を見ていこうぜ!」
ゼインは少し戸惑いながらも、ナヴィスに引きずられるように市場へ向かった。
市場には、碧族たちが作った不思議な食材や道具が並んでいる。
「エネルギーブレッド – 食べると身体の碧素が補充される」
「グラビティシューズ – 一定時間、重力を操作できる」
「スピードポーション – 短時間、反応速度が向上」
ゼインは目を見張る。
「……なんだこれ、全部ゲームのアイテムみたいじゃねぇか」
ナヴィスが笑いながら説明する。
「お前が知らないだけで、碧族にはこれが普通なんだよ」
リオナが少し考えながら、ある店の前で立ち止まった。
「……ちょっと待って。私、買い物してくる」
ゼインとナヴィスは驚いたようにリオナを見た。
「お前が? 何買うんだよ?」
リオナは少し視線を逸らしながら、店の中へと消えた。
🚀 シーン4:リオナの意外な一面
数分後、リオナは袋を抱えて戻ってきた。
ゼインが怪訝そうに袋を覗き込むと、そこにはキラキラと光るカラフルなキャンディが入っていた。
「……お前、それ、ただの飴か?」
リオナは咳払いをしながら、少しそっぽを向く。
「……悪い?」
ナヴィスが吹き出した。
「ははっ! なるほどな、リオナは甘党だったのか!」
ゼインも呆れたように笑う。
「意外すぎるんだよ、お前」
リオナは少し頬を染めながら、キャンディを一つ口に放り込んだ。
「……別に、好きなものを食べるくらい、いいでしょう?」
ナヴィスはゼインの肩を叩きながら、笑う。
「これでまた一つ、リオナの秘密が明らかになったな」
ゼインは肩をすくめながら、再び歩き始めた。
「……まぁ、悪くない時間だったな」
——束の間の休息は終わり、再び戦いが始まる。