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夜も更けてきたころ、公園。
たまに酔い潰れたおじさんだとか、この世に失望した新社員や学生などがいるが、今日は運良く誰もいないらしい。
辺りを見回して、目についたブランコに適当に座り込んだ。
この季節の移り変わりの時期は、夜風が心地いい。この風に身を任せて、そのままどこかへ行けたらな、なんて。
この街にいい思い出はないが、まるで呪縛のように私をこの場にくくりつける面々のせいで、離れられないでいる。
つい先ほどコンビニで買った煙草に、ライターで火をつけて煙を吐き出す。あーなんか、沁みる。最近吸ってなかったからか。禁煙、いつも続かないな。
灰色の煙は、真っ暗な街並みによく映えた。数秒見つめていると、あっという間に雲散していく。
ぼんやり肺が汚れていくのを感じていると、背後に人の気配がした。
『だっ、だれ…』
勢いよく振り返る。こんなところで刺されて人生終わりだとか、たまったもんじゃない。
「あぁ、ごめんな?驚かせるつもりはなかってんけど」
成人男性にしては少し高いそのテナーな声。妖美に細められた藍色の瞳。女性よりも手入れされた艶のある髪、軽く施されたメイク、度の厚い小洒落た眼鏡。
総じて、なんとなくだが、紫陽花のようだなと思った。
薄く笑う彼は、危険な雰囲気を醸し出していた。
けど。
どこか惹かれるような、そんな魅力もまた、あった。
「隣、ええ?」
絶対に、踏み入れてはいけないと本能が察知していたのに。
胸中で高々と上げられたレッドカードに気づかないふりをして、私は彼に言う。
「…お好きに、どうぞ」
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非常に避けた方がいいタイミングでの投稿です。
たぶんそんなに長くならない。
拙い文ですが、よろしくお願いします。