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汗を流すために、シャワールームに入っても、ベッドルームに戻っても、二人は身体を結び続ける。
何度、廉に抱かれたのか、優子はもう、分からなくなっていた。
彼が持参した避妊具も、全て使い切ったのか、床にも散乱している。
(キスマーク…………いっぱい付けられちゃったよ……)
彼女の身体には、至る所に、廉が植え付けた赤黒い華が咲き乱れている。
食事も摂らず、互いの心の隙間にある淫欲を埋めようと、身体を交えた。
遅い午後、二人は眠気にかなわず、寄り添いながら微睡んでいると、目が覚めた頃、外はすっかり暗くなっていた。
「優子……」
自分の名を呼ぶ、廉の声音が穏やかで心地がいい。
「れ……廉さん……」
「…………名残惜しいな。でも…………もう……戻らないと……な」
不意に、感傷的な表情を映し出す廉。
「そう……ですね。戻ら…………ない……と……」
彼女が困惑した表情を見せつつ、廉が小さな唇を甘く食むと、二人はベッドから抜け出し、身支度を整えた。
***
「優子は……今、どこに住んでるんだ?」
「立川…………です」
「なら、立川まで送るよ」
廉の申し出に、優子は、曖昧な笑みを見せる。
「でも…………廉さんに申し訳な──」
「俺が…………送りたいんだ」
「…………」
有無を言わせない廉の言葉に、彼女は、黙ったまま俯く。
「ほら、アレと一緒だ。小学校の時の遠足で、先生が言ってなかったか? 『家に着くまでが遠足だ』って。それと同じだ。立川に着くまで、優子は…………俺の女だ」
彼は、暗くなりそうな雰囲気を変えようとしているのか、何気なく言い退けるけど、優子は考えた末、彼の厚意を受け止める事にした。
「…………分かりました。では、お言葉に甘えて……」
「よし、行こうか。早くしないと…………拓人が文句垂れそうだしな」
言いながら緩やかにアクセルを踏み出す廉の表情が、優子には憂いを纏わせたように見えた。