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この作品は二大禁です。全てがフィクションであり、実際に存在する方々や団体などとは一切関係ありません。ありがたいことにコメントを頂ける際は、伏字など対策をお願いします。ルールを守って楽しみましょう。
また、書いていることの意味が分からない方は閲覧を控えてください。
cp:💚🩷
side
阿部は9人が十分に居れる広い楽屋……の一箇所に集まっているメンバーに混ざる。
わいわい、がやがや。
まるで男子高校生達の日常かのように笑いが絶えない今この瞬間で、阿部がスっと目を動かす。
目線の先には佐久間がいた。
佐久間。阿部のメンバーであり、親友であり、シンメであり、……そして阿部と両思いの人。
両思いとはいっても、肩書きの話である。
阿部は少なからず佐久間を好いているし、佐久間もそれは変わりない。
しかしそこに決定的な違いがあるとするならば、阿部の好意に苦し紛れな恋愛感情がある事だ。
阿部はそれを自覚しているのか否か、不意に佐久間を見つめる時がある。
佐久間もそれに気付いていないように誰かと話を続けるし、阿部もただ見るだけで接触はしない。
ただ、佐久間を見つめるその瞳は、どうにも優しく暖かいのだ。
阿部にとって佐久間はどういう存在なのだろうか。
そう阿部が問われた際、阿部はどう答えるのか。
答えはもう出ていた。
彼の意識の奥底に根付いているのだ。
佐久間大介は己を照らしてくれた太陽である、と。
しかし阿部が一方的にそんな感情を持っているわけではない。
一見すると阿部が佐久間に照らされている、そんな関係に見えるかもしれない。
しかしそれは真実とはいえ、もう一つ見えていないことがあろう。
阿部が佐久間を見つめるのを辞めた瞬間、チラッと佐久間が阿部を見る。
阿部ほど見つめる時間は長くはないが、それでも今この瞬間佐久間の瞳には阿部が映っている。
そして佐久間が目線を動かそうとしたその時、阿部がまた佐久間を見るのだ。
そこで”初めて”目を合わせた二人が、くしゃっと顔を歪ませ幸せそうに笑い合う。
佐久間は阿部を太陽かのように照らしている。
そして阿部も、佐久間を救っているのだろうと。
あれからそれぞれ次の仕事があると言って各々のタイミングで出ていくメンバー達。
最後に楽屋に残ったのは阿部と佐久間だ。
「んじゃ阿部ちゃん!お疲れ様!」
「佐久間もお疲れ様!この後も頑張ってね」
ヒラヒラと手を振りながら、佐久間も楽屋を出る。
そうして広い楽屋に一人となった阿部も、もうすぐにここを出るだろう。
……太陽は人を照らすが、時に人の敵になる。
side 💚
いつか佐久間の隣に居れる日がくるだろうか。
来ても嬉しいし、来なくてもいい。
佐久間の結婚を祝う日が、来て欲しいと同時に来て欲しくない。
それは俺の中にある感情故の思いだということも分かっている。
佐久間の幸せを願っているのは俺だし、佐久間を幸せにしたいと願っているのも俺だ。
佐久間は俺に後者のような願いは持ち合わせていないだろう。
よく俺のファンにマウントをとっているが、それが佐久間にとって本気じゃないことぐらい皆分かるだろう。
それでも俺はそれがホントの思いだったりしないかな、なんて淡い期待を抱くこともあるのだけど。
閑話休題、何が言いたいかというとつまりは、俺の片思い……という訳だ。
いつかこの感情を持て余す時が来るのだろうと分かる。
ていうか今でもたまにこの感情の行き場を何処にすればいいのか分からなくなる時がある。
だから俺は、いつか佐久間に抱いているこの「好き」を、捨てなければならない。
そうでもしないと苦しむのは自分だと、分かっているから。
でも、でも。
「いつかきっと、……」
ああ、辞めておこう。
口に出してはいけない。
俺はそれを捨てなければならない。
望んではいけない。
佐久間の幸せを願うなら、そうするべきだ。
…………
「……次の現場行こう」
俺はさっと荷物を持ち楽屋を出る。
最後の一人な為、この建物を出るまでにやらなばならぬ事があるけれど苦ほどではない。
スっとスマホを取り出し、メンバー全員のスケジュールが共有されているアプリを起動する。
皆がこれから今どのような仕事をするかの確認だ。
「……あ」
……待って、俺と佐久間隣同士のスタジオだ。
これなら佐久間と一緒にいけば良かったかも……
ちょっとした後悔を含んだ足は早くなる。
さっきぶりだね、みたいな会話あるかなぁ。
佐久間とすれ違えるだろうか。
それを狙う訳ではないけれど、少し急いでみてもいいだろう。
現場に早くつくことに、越したことはないから。
(情景描写と心情描写のリハビリ)