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iris stpl 桃赤 様
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日本語おかしい
朝、先に目を覚ましたのは俺だった。
カーテンの隙間から差し込む光が、彼の髪を淡く照らしている。
眠っている顔は驚くほど無防備で、昨日までの「最年少リーダー」の影はどこにもない。
……本当に、よく頑張ってる。
そう思いながら、起こさないようにそっとベッドを抜ける。
キッチンでコーヒーを淹れていると、背後から足音。
「……おはようございます」
振り返ると、少し大きめのシャツを羽織った彼が立っていた。
寝起きのせいか、目をこすりながら、どこか落ち着かない様子。
「おはよう。よく眠れたか?」
「……うん。久しぶりに」
それから少し間を置いて、照れたように付け足す。
「……ちゃんと、夢も見なかった」
それは、いい兆候だ。
マグカップを渡すと、彼は両手で包むように持って、一口飲む。
熱かったのか、少しだけ眉を寄せて、でも笑った。
「……ないこくんの部屋、落ち着く」
「それ褒めてる?」
「すごく」
そう言って、彼はソファに座る。
昨日、泣いていた場所。
でも今は、背筋を伸ばしながらも、どこか柔らかい。
「今日、午後からリハなんだよね」
「行けそうか」
「……うん。行きたい、な」
“行かなきゃ”じゃなくて、“行きたい”。
その言い方に、少し安心する。
「無理そうなら、途中で抜けろ」
「うん。でも……」
彼はちらっと俺を見る。
「……終わったら、連絡してもいいかな」
「もちろん」
「……また、ここに来ても?」
「来る前提で聞いてるだろ」
その返しに、彼は小さく笑った。
昨日みたいに泣くでもなく、仕事用の顔でもなく、
ただ、年相応の笑顔。
玄関で靴を履きながら、彼が不意に振り返る。
「ねぇ……」
「ん?」
「……ありがとうございます。昨日も、今も」
「礼を言われることはしてない」
そう言うと、彼は一瞬だけ迷ってから、近づいてきて、
背伸びをして、軽く額を俺の胸に当てた。
「……じゃあ、行ってきます」
「ああ。いってこい」
ドアが閉まったあと、部屋に残る静けさ。
でも昨日とは違う。
――ここは、帰ってきていい場所になった。
コーヒーを一口飲みながら、俺は次に彼が来る時間を、
自然と考えていた。
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