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#裏主
ピノノワール@ちょびっと低浮上
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1939年9月1日。
この世界において、第二次世界大戦が始まった日。
当時、優真はHELLSING機関に所属していた。
しかし、ある日突然、激しい爆発が起こった。
爆音が響き、視界が揺れる。
爆風に巻き込まれた優真の身体は遠くへと吹き飛ばされ、そのまま意識を失った。
次に目を覚ましたとき、そこは見知らぬ場所だった。
周囲には、見たこともない人々がいる。
聞こえてくるのは、理解できない言葉ばかり。
ドイツ語だった。
日本人である優真にとって、聞き慣れない
言語を理解することなどできなかった。
「……ここ、どこ……?」
思わず日本語が口からこぼれる。
しかし、返事はない。
当然だった。
相手には優真の言葉が通じず、優真にも相手の言葉が分からないのだから。
怖かった。
知らない場所。知らない人々。何も分からない自分。
泣きそうになりながら周囲を見回していると、一人の男が目に入った。
少佐。
その人物こそが、後に優真にとって特別な存在となる男だった。
少佐は優真を保護し、自分のもとで育てることにした。
最初は、ただ怖かった。
何を言われても分からない。何を尋ねられているのかも分からない。
それでも、少佐は優真を慰めてくれた。
言葉が通じなくても、少なくともそのときの優真には、少佐の存在が救いだった。
――この人は、怖くない。
そう思えた。
いや、正確には。
この人のそばなら、少しだけ安心できる。
それが、優真にとっての始まりだった。
やがて、優真は少佐のもとで生活するようになった。
周囲には、リップヴァーン、ゾーリン、大厨、准厨、ドク、そして多くのナチ党員たちがいた。
もちろん、最初から全員に慣れたわけではない。
ゾーリンの顔半分を見たときなど、怖くて少佐の後ろに隠れてしまった。
一方、リップヴァーンはそこまで怖くなかった。
准厨を見たときには、思わず目を丸くした。
「ね、猫ぉ……っ?」
見慣れない姿に驚き、どう反応すればいいのか分からなくなる。
大厨は、あまり言葉を発さず、ただ頷くだけ。
何を考えているのか分からず、優真は内心で困惑した。
ドクも苦手だった。
そして、ナチ党員たちについて知ったときには、さらに混乱することになる。
喰種――グール。
その存在を知った優真は、思わず青ざめた。
「え……? 喰種……? え、俺、喰われんの……!?」
知らない言葉、知らない習慣、知らない人々。
ここは、自分が今まで生きてきた世界とはまるで違う場所だった。
そして何よりも衝撃的だったのは、少佐のことを知っていくうちに判明した事実である。
少佐は、戦争愛好家だった。
「せ、戦争愛好家……!?」
優真にとって、少佐は自分を救ってくれた恩人だった。
優しく慰めてくれた人だった。
その少佐が、戦争そのものを愛している。
幼い優真には、すぐに理解できることではなかった。
それでも、少佐への想いが消えることはなかった。
むしろ、少佐は優真にとって、ますます特別な存在になっていった。
そんなある日のこと。
優真は、ウォルターのことを思い出した。
かつてウォルターがガラスを破って現れ、少佐に向かって「デブ」と言い放ったこと。
その言葉を思い出した瞬間、優真の胸の奥に怒りが込み上げた。
――何で、そんなこと言うん。
少佐は、自分を助けてくれた人なのに。
少佐は、自分を慰めてくれた人なのに。
大好きな人を侮辱された。
それが、どうしても許せなかった。
少佐に攻撃を仕掛けたウォルターへの怒りを抑えきれず、優真自身が行動を起こしたこともあった。
しかし、そのときは人狼の大厨に止められてしまった。
優真は、少佐が死ぬことなどないと思っていた。
けれど、それは少佐が無敵だという意味ではない。
少佐にも、少佐の過去がある。
優真は、少佐がかつてロシアのソ連党員たちにひどく殴られたことも教えられていた。
その話を聞いたとき、優真はどんな顔をすればいいのか分からなかった。
自分を救ってくれた人にも、そんな過去があったのだ。
少佐はいつも余裕のある笑みを浮かべている。
何事にも動じないように見える。
それなのに、過去には傷つけられたこともある。
優真は、その事実を知った。
そして、改めて思った。
――少佐は、俺の恩人や。
――俺にとって、一番大好きな人や。
最初は、言葉も通じなかった。
何を話しているのかも分からず、周囲の人々が怖くて、泣きそうになっていた。
そんな自分を慰めてくれたのが、少佐だった。
だからこそ、優真は少佐が大好きだった。
それは、命を救われたことへの感謝だけではない。
一緒に過ごす時間が増えるにつれ、その気持ちは少しずつ変化していた。
少佐もまた、優真にだけは、ほんの少し甘かった。
本人は、それを大げさに表現することなどなかった。
けれど、優真に向ける言葉や態度には、ほかの者たちとはわずかに違う柔らかさがあった。
優真はまだ、その意味を知らない。
少佐も、自分の気持ちをはっきりと口にすることはなかった。
二人とも、相手を想っている。
けれど、その想いを確かめ合うには、まだ時間が必要だった。
こうして、優真の新しい人生は始まった。
知らない言葉に囲まれた場所で、たった一人、安心できる存在を見つけた。
それが、少佐だった。
そして、この出会いこそが、優真の十歳から二十歳までの十年間を形作っていくことになる。
コメント
1件
おお、読み終えたわ…! 正直、優真が10歳でナチ党に拾われるって設定だけ聞くとめっちゃ重そうやけど、ちゃんと“子供の視点”で書かれてて感情移入しやすかった。 少佐が戦争愛好家やと知るシーン、あれは「え…」ってなった。でもそれでも大好きなままってのが切ないし、まだまだ子供やなって思う。 リップヴァーンとかゾーリンらの名前出てきて、HELLSING知ってる人はニヤリとするところやな。大厨に止められるところもツボ。 まだ9話でここまで世界観見えてるのはすごい。続きも気になる🔥