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龍斗から常闇ノ 優真に変わりましたぁ、やかましいのはわかってはります……
「……っ、降ろしてぇや!!」
優真は少佐の腕の中でじたばたした。
少佐は、そんな抵抗など気にも留めていない様子だった。
「おや。お気に召さなかったかね?」
「お気に召すも何もあるかい!! なんでお姫様抱っこやねん!?」
日本語で叫んでも、少佐にどこまで伝わっているのか分からない。
それでも、少佐は優真の顔を見て、愉快そうに笑っていた。
「フフフ……実に元気な子だ」
「笑うなやぁ!!」
優真は顔を真っ赤にして、少佐の腕から逃れようとした。
その様子を見ていたリップヴァーンが、面白そうに二人を眺めている。
一方、少佐の背後から様子をうかがっていたゾーリンは、優真に向かって再び手を伸ばした。
優真は即座に反応した。
「いややっ!! そっちは来んといてぇ!!」
少佐の服をぎゅっと掴む。
ゾーリンの手が止まった。
「……ククク」
少佐は笑いをこらえる様子もなく、優真を見下ろした。
「そこまで怖がることもあるまい」
「少佐には分からへんねん!!」
優真にとっては大問題だった。
顔半分が怖い人間に撫でられそうになる。
銃を持った人間がいる。
猫の姿をした人間がいる。
人狼までいる。
おまけに、少佐はなぜか自分を抱っこしている。
――情報量が多すぎる。
十歳の優真には、まだこの場所に慣れる余裕などなかった。
そのとき、シュレディンガーがひょこっと顔を出した。
優真はじっと彼を見つめる。
「……なぁ」
もちろん、言葉が通じる保証はない。
それでも、優真は真剣な顔で口を開いた。
「猫って、犬より好きなん?」
シュレディンガーがどう反応したのか、優真にはよく分からなかった。
しかし、少なくともゾーリンほど怖くはない。
「……まぁ、いいけど。僕猫だし」
なぜか許された。
その一連の様子を眺めていた少佐は、優真を抱いたまま、ゆっくりと歩き始めた。
「さて、優真。行こうか」
「……どこに?」
返事はドイツ語だった。
「…………」
優真は沈黙した。
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#裏主
ピノノワール@ちょびっと低浮上
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そして、少佐の顔を見上げた。
「……日本語で頼むわ、ほんまに」
もちろん、その願いが届いたかどうかは分からない。
ただ、少佐の腕は優真を落とさないよう、しっかりと支えていた。
それだけは、優真にも分かった。
だからこそ、優真は少しだけ抵抗をやめた。
――この人は、俺を助けてくれた人や。
まだ怖いことばかりだ。
分からないことも、山ほどある。
それでも今は、この腕の中にいることを、ほんの少しだけ許してみようと思った。
……ただし。
「少佐」
「何かね?」
「次からは普通に歩かせてな……?」
少佐は、優真の言葉の意味を理解したのかどうか。
ただ、いつものように愉快そうに笑っていた。
優真のミレニアム生活は、まだ始まったばかりだった。
「優真。ドイツ語もう言えるはずじゃないか?」
「……自分で作ったけど……」
「それでもいい。」
「Unser Ziel ist es, auch London in England zu zerstören. Hier beginnt der Krieg.」
「いいじゃないか。よく出来ている。」
コメント
1件
あらためて「はる。」です!第10話読んだよ〜。 いきなりお姫様抱っこからのゾーリンが迫ってきて「いややっ!!そっちは来んといてぇ!!」って関西弁で叫ぶ優真くん、可愛すぎるでしょ(笑)。しかもシュレディンガーに「猫って、犬より好きなん?」って真顔で聞く流れ、めっちゃ笑った。幼い視点でこのカオスな面子を必死に処理してる感じがすごく好きだわ。 少佐、笑ってるだけだけどちゃんと優真くんを落とさないように支えてて、そこにグッときた。最後に「次からは普通に歩かせてな……?」ってお願いするところ、諦めと信頼の間の絶妙な距離感でグッド。 次の話も楽しみにしてます🔥