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皆も知ってるように僕達ドールには能力が有る。
でも、僕の能力は【模倣】で、今役に立ちそうな能力を僕は見たことが無い。だから僕に出来るのは、ただひたすらに助けを求めて叫びながら、乗組員達を出来るだけ多く、岸に寄せるぐらいだった。
それから数分、陸の方に人が居るのが見えた。
その人達は乗組員を救助し始めているように見えた。ほんの少し、安心した時、僕は意識を手放した。この冷たい海で動き続けていたから当たり前だろうけど。
僕達ドールはそう簡単には死な無い。自身の主が死なない限り、死ねないのだ。
「Yüzmede iyi değilim」
[訳:僕、水泳は得意じゃないんだよね]
そうポツリと言葉を残して僕は完全に意識を手放した。
暫くして目を覚ますと全く知らない所にいた。
「Neredeyim?」[訳:ここどこ?]
知らない天井、真っ白の敷き布団、周りには寝ている乗組員。
混乱を隠せなかった。
「!」
ふと、右足に激痛が走った。
掛け布団を払って右足を見てみると、包帯でぐるぐる巻きにされていた。
この感覚的には、骨でも折れたのだろうか。最悪だ。
ドールがいくら人間よりも傷の治りが早いからといっても、骨折ともなれば流石に四週間程完治には時間が掛かる。本気で面倒だ。
そんな事を敷き布団に座りながら考えていると、スライド式のドアがスーと、ほとんど音も無く開いた。
助けてくれた人か、侵入者か。
ただの善人か、恩を売ろうとする者か。
まぁ、どちらにせよ、警戒しておいて損はないだろう。
「あ、駄目やで、まだ寝てなきゃ」
この部屋に入って来たのは一人の女性だった。日本国の服、確か、着物だっけ?それを着てた。
、、、日本語、だよな。なんて言ってんだ?
僕、簡単な挨拶ぐらいしか日本語は話せないよ。どうしたもんか。聴き取るのもちょっとしかできないのに。
「あ、ンー、ぼくハ、炎土。アナタは、ダレ?」
上手いこと言えただろうか。
大体一言目は僕が日本語を少しでも話せる驚き。
二言目は、相手が名乗る。
「へー、日本語まだ下手っぴやけど、話せんねやな」
案の定、女性は驚いたようにそう言った。少しディスられてるような気がするが、気の所為だろう。
「うちは、春川恵海って言います」
女性は自分自身を指さしてそう言った。日本人は名前が後ろに来るようだから、「恵海」が名前だろう。
「自分もしかして、ドールやったりする?」
何を言っているか分からないが、「ドール」と言っているのは何とか分かった。
「愛さんと鈴さんが心配しとったで」
愛さん、鈴さん。もしかして、僕達ドールのリーダーの愛華とその双子の妹の鈴華の事だろうか。
まさか、僕の事を心配してるなんて、驚きだな。
話すの苦手なんだよな。元々口数少ない方だし。
「お!炎土起きたんだ」
開いたままのドアからひょこっと顔を覗かせてそう言ったのは鈴華だ。