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デューク 江國香織 様
私の大好きな本です!
今回はこの本をamnvのakくんとprくんに当てはめてみました!prくん犬になってます!(笑)
ak side
歩きながら涙が止まらなかった。
二十八にもなった男が号泣しながら歩いているのだから、他の人たちが冷たい視線で俺を見たのも無理の無いことだった。
それでも俺は泣き止むことが出来なかった。
ぷーのすけが死んだ。
おれのぷーのすけが死んでしまった。
俺は悲しみでいっぱいだった。
ぷーのすけは翡翠色の目でクリーム色のムク毛の犬。プーリー種という牧羊犬だった。
俺の家に来た時はまだ産まれたばかりの赤ん坊で
廊下を走ると手足が滑ってぺたんと開き、
すーっとお腹で滑ってしまった。
それが可愛くて名前を呼んでは何度も廊下を走らせた。
その格好がとてもモップに似ていて凄く笑ったな
卵料理とアイスクリームと梨が大好物だった。
ぷーのすけは初夏がよく似合っていたから、
新緑の頃に散歩に連れてくと、匂やかな風に、
毛をそよがせて目を細める。
その横顔はジェームス=ディーンに似ていた。
音楽が好きで、俺がピアノを弾くといつも聴いてくれた。
そうして、ぷーのすけはとてもキスがうまかった。
死因は老衰。俺が仕事終わりに帰ると、
まだ微か に暖かかった。膝に頭を乗せて撫でているうちにいつの間にか冷たくなってしまった。
次の日も仕事に行かなければならなかった。
玄関で、妙に明るい声で
あき「いってきます」
ドアを閉めた途端涙が溢れた。
泣けて、泣けて、泣きながら駅まで歩き、
泣きながら駅の改札口で定期を見せて、
泣きながらホームに立って、泣きながら電車に乗った。
電車はいつも通り混んでいてカバンを抱えた女学生やコートを着たお勤めの人達が
会釈なくジロジロ俺を見つめた。
「どうぞ。 」
無愛想にぼそっと言って席を譲ってくれた。
十九歳くらいだろうか。
白いポロシャツに紺のセーターを着た青年。
あき「ありがとう」
蚊の鳴くような声でお礼を言い。
俺は腰をかけた。
青年は俺の前に立ち俺の顔をじっと見ている。
綺麗な目の色だった。
いつの間にか俺は泣き止んでいた。
俺の降りた駅で青年も降り、乗り換えた電車に乗り、終点の渋谷までずっと一緒だった。
何も会話はしていないけれど青年は
満員電車の雑踏からさりげなく俺を庇ってくれた気がする。
少し気持ちが落ち着き
あき「コーヒーご馳走させて」
電車からおりると俺は青年に言った。
クリスマスまで2週間あるというのに
あちこちにツリーや天使が飾られていた。
喫茶店に入ると
「朝ごはん、まだだからオムレツも頼んでいい?」
と聞かれた。
どうぞ。と応えると嬉しそうに笑った。
公衆電話から仕事先に電話して休む連絡をした。
今日は一旦ここまでで!
なるはやで投稿します!!