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???「…………」???「君が「紫雲雨花」くんだね」
???「……まぁはい」
???「私は雫だ。一応校長をやっている。」
「早速だが、」
雫「君にはこの学園に編入してもらう」
ここは、トウヒガ学園の応接間室。「紫雲雨花」は「雫」に呼ばれ、この学校に入学するよう言われた。
雨花「…………どうしてですか?」
雫「……それは、今言っても分からないと想うが……」
雨花「そういうの良いので言って下さい」
雫「昔だ。遠い遠い昔のお話。ある所に自分を大罪人だと想い続け、希死念慮に囚われ続けている神がいた。その神は、自分という存在を完全に消去するために自身を研磨して、とうとう自分を消し去る力を手に入れた。そして……その神は消えた。」
雨花「それで何なんですか?」
雫「私はその神の師匠と並行世界線上で同一人物なんだ。」
雨花「……並行世界?」
雫「私は並行世界で神を育成する神をやっていた。その神の友人にも贅沢なことに慕われていたよ。そしてその子たちは消えてしまったその神をまた転生させるために自分たちの魂と私の魂を代償にその子を転生させた。その子の友人たちの魂とその神の魂は一心同体になり、離れることなく転生し続けている。今もきっとどこか違う世界で転生しているだろう」
雨花「それがわたしと何の関係があるんですか?」
雫「君は……」
「「その神の並行世界の存在なんだよ」」
雨花「……は?」
雫「その神のいた世界の並行世界がこの世界なんだ。そして、その神と並行世界線上で繋がっているのが君なんだ」
雨花「何で並行世界なんてものがあるんですか?そもそも何でその並行世界の人と自分が一致していると知っているんですか?」
雫「妖怪たちが教えてくれたんだ。私がこの学園に赴任してすぐ、ある妖怪が教えてくれた。その妖怪はぬらりひょんの妖怪で、何故かは分からないがある写真を持っていた。その写真にはそこには私と、君と瓜二つの少女が映っていたよ。そして、その妖怪が言うには、私たちは並行世界線上の「雫」、そして「紫雲雨花」なんだ。それを知った瞬間、私に「雫」の記憶が流れ込んできた。そして、この事実が確信に変わった。」
雫は、その写真を雨花にみせる。
雨花「……すみません。聞いといて何ですが言ってる意味が全く分かりません。それにだから何なんですか?わたしはその神?とやらなんてどうでも良いですし、わたしには関係ないですよね?」
雫「君は今幸せかい?」
雨花「は?」
雫「幸せを、自分の想い描く幸せを……手に入れられているかい?」
雨花「…………」
《あいつって面倒臭いよな》《雨花ちゃんってさ……》《あいつ気持ち悪い》《変なやつ》
《雨花ちゃんとは二度と関わりたくなくて》
わたしは
全部自業自得なんだ
雨花「…………」
雫「どうやらそうじゃないみたいだね」
雫は立ち上がり、窓の方をみる。
雫「ここから始めないかい?」
雨花「……え?」
雫はくるりと雨花の方を向くと、こう告げた。
雫「ここから。私たちと始めよう。始め方も生き方も。零から一緒に生き直そう。もう自分を消したりしないように。私は……」
「「今度こそ雨花に幸せになって欲しいから」」
雨花「そもそも並行世界線上でわたしと同じ人だとしても、わたし自身には何にも関係ないですし、それに、わたしの罪はいくら生き直したって消えません。罪は、罪を犯したという事実はもう絶対消えないんだから」
雫「雨花……やっぱり君は「紫雲雨花」なんだね.。あの頃と変わらない」
《お師匠様!打ち込み台倒せました!》《これ美味しいですね!》《もっと頑張ります》《はぁ……え?いや何でもないですよ。あはは!》
雨花「編入の件、お断りします。わたしは学校になんて行くつもりは毛頭ないので。もう充分なので」
雫「いや、君には行ってもらうよ。君をもう消させる訳にはいかないんだ。雨花。君の編入許可書は既に理事長に受理してある」
雨花「なっ……!?勝手なことしないで!!」
雫「君には多少強引に引っ張らないと通用しないと私はよく知っている」
雨花「……ちっ」
雫「すまないね。でも、このままだと君は後の二の舞になる。……あの子たちにもう同じ想いをして欲しくないし」
「それから、」
雫「この学校には妖怪がいるんだ。妖怪には姓がないから、学園内では自分の下の名前のみを使うようにしてくれ。」
「ようこそ、」
「「トウヒガ学園へ」」
雫「あ、ちなみに……君は今こう考えているだろう?」
雨花「…………」
雫「それは……」
「「この写真を捨てれば、並行世界との繋がりを証明するものがなくなる……そうすればこの学園を辞められると」」
雨花「……違うんですか?」
雫「いや、その通りだよ。この写真を破り捨てれば君は学園をやめられる。理事長も並行世界との繋がりを証明するものがなければこの学園には入学を許可できない。この学校はね。この写真と同じ世界の並行世界と繋がりがあると認められたものが入学できる学校だからね。だからそれを承認するものがなくなればこの学校に行く資格はなくなる。」
「だから、」
雫「そんなに学校が嫌なら、この写真を奪ってみせなさい。でも……」
「「君の周りにいる者がそれを邪魔するだろう」」
雨花「あはははは、邪魔なんて悪い言い方ですけど、あなたは本望ですよね?」
雫「さぁね」
雨花「絶対その写真。細切れにしてあなたの前に突き出してやりますよ」
雨花「さよなら」
雫「…………」
「「絶対今度こそ雨花には……」」
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雨花「はぁ……」
雨花はトウヒガ学園に無事(?)編入した。
しかし、
雨花「はぁ……みんなもうグループできてるな。」
雨花はクラスを見渡す。
日直でもないのに、黒板を先生が来るちょい前に消して、内申点上げろアピールをする者に、筆箱の中に入れてあるぬいぐるみに話しかけて学校に使い魔を持ってきているという設定を作って楽しんでいる者、休み時間まで勉強している者、窓側をずっとみてカッコつけてる者。などなど色んな意味で個性豊かなクラスメイトが沢山いる。その中でもグループはしっかりとできている。
雨花「学校なんてこんなものか。……ん?」
雨花の視線の先には、ずっと俯いている白髪にピンク髪を一束持つ男子がいた。
雨花「…………」
???「…………」
雨花「…………」
???「……あの何か?」
雨花「あなた、ずっと俯いてたよね?」
???「…………」
雨花「確か……兎白くんでしょ?」
兎白「…………」
話しかけると、「兎白」はますます俯いてしまった。
雨花「あのさ。あなたって……」
兎白「何……?」
雨花「案外優しいね」
兎白「……は?」
雨花「だってさ。わたしが視線を送ったら反応してくれたじゃん」
兎白「……あんな熱い視線ならすぐ気づく。」
雨花「(視線に敏感、そしてこんなに暗いってことはそうならざるおえない苦しいことがあったのかも)」
雨花は、椅子を持ってくると、兎白をじっとみた。
雨花「……一緒にご飯食べない?」
兎白「え」
雨花はやっと兎白の目をみることができた。
雨花「うん。綺麗な目」
兎白「……食べて良いのか?」
雨花「だから誘ったんだけど?」
兎白「そ、そっか……そうだよな」
こうして、雨花に一人友達ができたのだった。
兎白「…………」
こいつ……
凄くか細いし、今にも消えそうな声色だな……
それから、二人は一緒に行動するようになった。
最も雨花が自分から話しかけることは少なく、兎白が勇気を出して、話しかけると一緒に行動をすることがほとんどだが、決して兎白を独りにするようなことはしなかった。
兎白「…………」
雨花「…………」
兎白「……何か用か?」
雨花「わたしから話して良いの?」
兎白「…………うっ……ぐずっ……また……机の中にゴミ入れられた……」
雨花「それを……勇気を出して自分から言えたこと。誰にでもできることじゃない。」
「「話してくれてありがとう」」
兎白「あっ……ぐずっ……」
雨花「頑張った……ね……」
兎白「あぁぁぁぁうわぁぁぁぁ!!!!」
雨花は、ただ隣で兎白の涙をずっと支え続けた。
兎白「なぁ。一緒に移動教室しよう」
雨花「……別に良いけど」
兎白「お前昨日サボっただろ?どこにいたんだ?」
雨花「……あなたに教える義理はない」
兎白「ははっ。そうか。」
こんな感じで雨花と兎白は一緒の時を過ごした。
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雨花「…………」
兎白「どうしたんだ?雨花」
ここは、生徒会室。雨花と兎白は部活の予算について話し合っていた。残りのメンバーは、部活に行っている。
雨花「いやさ?ちょっと昔のことを想い出してて……あはは」
兎白「昔のこと?」
雨花「そうそう。……兎白くんと初めて話した時のこと」
兎白「あぁあの時の俺はぶっきらぼうだった気がする」
雨花「あはははは!確かに〜でもあの時の兎白があって今の兎白くんがいるって考えると、昔の兎白くんも無駄じゃないし、悪くないと想うよ?」
兎白「ははっありがとう」
雨花「じゃあパパっと集計しよっか。」
「本当は橙ちゃんがいてくれれば良いんだけどね〜」「あいつは運動部の助っ人を頼まれてるからな」
こんな風に話しながら、今日という日は穏やかに過ぎていった。