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遥 ℎ𝑎𝑟𝑢𝑘𝑎
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第四十九章 地方創生
蓮🖤「翔太、それどうした?」
目を細めて、白い首筋に残る赤い痕を指差し、低い声色で呟いた蓮。濡れたシャツの襟を気持ち悪そうに握り、ボタンを一つ外した。
首筋に残る雨粒が肌を伝って流れ、それを手の甲で払う。
その何気ない仕草に、二人は思わず目を奪われた。
〝ドキッ……〟
亮平💚「なんだよ『ドキッ』って……違うから」
翔太💙「蓮カッコいい」
蓮 🖤「はあ?何言ってんのお前たち?それより翔太のそれ、なんだよ」
蓮と亮平の視線の先――
翔太💙「え?あっこれ?」
亮平💚「はぁ……」
大事そうに抱えた掌に視線を送った翔太。
大きなため息をつく亮平。
翔太💙「UNO知らないの?する?」
亮平💚「言うと思った」
次に大きなため息をついたのは蓮だった。
翔太💙「二人ともどうしたの?」
不思議そうに首を傾げる翔太。
その無垢な表情と首筋に残る赤い痕があまりにも不釣り合いで、クスクスと笑う亮平を他所に、蓮はまた深いため息をついた。
翔太💙「なぁに?」
蓮🖤「お前には敵わないな」
翔太💙「えっ蓮、UNO苦手なの?やっぱあの地方ルールっていうのは曲者だよな〜」
訝しげに眉根を寄せ、二人はほぼ同時に「地方ルール?」と声を揃えた。
翔太💙「ねぇ、二人息ぴったりだね……いつからそんなに仲良くなった?それに今日、ここで二人でなにして……」
亮平💚「ねぇ翔太、地方ルールってなぁに?」
言葉を遮られたような気がしたものの、亮平にも知らないことがあるのかと翔太は、意気揚々に腰に手を当て詳細を語った。
蓮🖤「……で、そんなルールなんで信じた?」
亮平💚「してやられたわね……翔太の生態をよくご存知で」
翔太💙「ん?」
じわりと距離を詰める蓮に、翔太は思わず一歩後ずさる。
意味ありげにニヤリと笑った蓮は不気味で、その表情を見た瞬間、翔太の背筋に冷たいものが走った。
蓮 🖤「いや〜久々だなUNO」
伸びてきた蓮の長い腕。
ゴツゴツと男らしい長い指が、翔太を捉えようと空を掴んだ。
蓮 🖤「なんで逃げる?」
翔太💙「べ……別に逃げてなんか……」
亮平💚「捕まえた♡」
背後に回り込んだ亮平は、翔太を抱き竦めるようにお腹に腕を回すと、首筋に残る赤い痕に上から唇を重ねた。
翔太💙「ンンンッ……亮平?」
亮平💚「消毒しとかなきゃね」
翔太💙「意味分かんないんだけど!?」
腕の中でもがく翔太を見て、亮平は楽しそうに肩を揺らした。
蓮🖤「まぁいいだろ」
翔太💙「よくない!」
蓮🖤「それよりUNOだ」
翔太💙「え?」
蓮🖤「せっかく持ってきたんだろ」
ひらり、と。
蓮は翔太の手からUNOの箱を抜き取った。
翔太💙「あっ」
蓮🖤「地方ルールありで」
亮平💚「賛成♡」
翔太💙「えっ」
亮平💚「地域文化を尊重しないとね♡」
蓮🖤「地方創生だ」
翔太💙「なるほど!」
亮平💚「なるほどじゃないのよ」
翔太💙「でもテレビで見た。地方創生って大事なんでしょ?」
亮平💚「そうねぇ♡」
蓮🖤「じゃあ千葉ルールも大事だな」
翔太💙「えっ、そういうことなの?じゃあUNOって地方創生に貢献してるんだ!」
胸を張って地方創生を語る翔太を見て、蓮は〝ここまでとは……〟と言いながら頭を抱えた。
その隣で肩を震わせていた亮平が、堪らず吹き出した。
何故だか佐久間が笑った時とまったく同じ空気だった。
翔太💙「ちょっと待って」
蓮🖤「待たない」
亮平💚「座って♡」
翔太💙「絶対ろくなこと考えてないでしょ!」
蓮🖤「そんなことない」
亮平💚「地域文化を尊重してるだけ♡」
翔太💙「絶対嘘だ!!」
後ろからぐい、と身体が引き寄せられる。
気付いた時にはもう遅い。
亮平の腕が腰へ回り、そのままふわりと身体が浮いた。
翔太💙「ちょ、ちょっと!」
亮平💚「また捕まえちゃった♡」
翔太💙「捕まっちゃった///……って違ーう!下ろして!」
亮平💚「千葉ルールだから」
翔太💙「千葉ルールって何!?」
亮平💚「UNOやる時は一人抱っこ」
翔太💙「絶対嘘だろ!」
亮平💚「地方だからね♡」
蓮🖤「地方だからな」
二人の返答は恐ろしいほど息が合っていた。
翔太は助けを求めるみたいに二人の顔を見比べる。
けれど。
何故か普段仲の悪い二人なのにこういう時だけは妙に結束が固い。どちらも味方になってくれそうになかった。
翔太💙「だからなんで二人ともそんな仲良いの……」
亮平💚「ほらほら」
〝離してよ……〟じたばた暴れる翔太を宥めるように抱き込むと、ベッドの上で胡座を掻いた亮平の、股の間に収まったまま腰は下ろされ、柔らかいマットレスが二人分沈んだ。
逃げようとしても、翔太の背中は亮平の胸にぴったり押し付けられている。
翔太💙「……狭い」
亮平💚「我慢」
翔太💙「やだ」
亮平💚「千葉ルール」
翔太💙「そんなの絶対おかし……っんあっ……りょうへっ」
後ろから回された亮平の手が、翔太の顎を掬うと唇が重なった。
亮平💚「うるさいお口には蓋をしなきゃね」
面白がる亮平をよそに、正面では蓮が何事もなかったみたいな顔でUNOの箱を開いていた。
慣れた手付きでカードを切りながら、視線はずっと翔太を捉えて離さなかった。
3人分沈み込んだベッドは、ギシッとスプリング音が鳴り、慣れた手つきで捌いたカードは、ぱらぱらと軽い音を立てて湿り気の残る静かな室内へ響いた。
蓮🖤「七枚な」
亮平💚「了解」
翔太💙「待って。なんで普通に始まろうとしてるの?」
誰も答えない。
カードだけが淡々と配られていく。
雨上がりの湿った空気。
散らばったクッション。
三人分の体温が残る狭いベッド。
その中心で、翔太だけが、まだ何も納得していなかった。
翔太💙「褒めてもらいたかったのに……今日俺頑張ったのに」
ぽつりと零れた言葉に、蓮は一瞬だけ目を細めた。
亮平も後ろから翔太を見守るような優しい眼差しを向けた。
数秒の沈黙。
先に口を開いたのは蓮だった。
蓮 🖤「佐久間の容体は?問題などはなかったか?」
翔太💙「あっ……はい」
蓮🖤「佐久間のこと、ちゃんと見てきたんだろ?報告してみな」
その声音は思いのほか優しかった。
そっと翔太の頰に触れた蓮。
その手に安心したように目を細めると、翔太は小さく頷いた。
翔太💙「うん。ちゃんと診てきた」
そう答えた翔太は誇らしそうに胸を張る。
蓮は思わずその頭へ手を置いた。
褒められると思っていなかったのだろう。
翔太の頬には隠しきれない嬉しさが滲んでいる。
翔太💙「バイタルも安定してたし、食事も摂れてたし、熱もなかったし」
次々と報告を始めた翔太を見ながら、蓮は小さく頷いた。
蓮🖤「なら上出来だな」
その一言で翔太の顔がぱっと明るくなる。
まるで子供みたいな反応だった。
そんな様子を、亮平は後ろから抱き込んだまま黙って眺めている。
やがて肩を揺らし、小さく笑った。
亮平💚「へぇ」
翔太💙「?」
亮平💚「佐久間さんのバイタルは正常だったのね」
翔太💙「うん」
亮平はそう言いながら、翔太の胸元へそっと手を当てた。
翔太がびくりと肩を震わせる。
亮平💚「じゃあ不思議」
翔太💙「何が?」
亮平💚「こっちの脈拍はちょっと異常みたい♡」
一瞬遅れて意味を理解した翔太の耳がみるみる赤くなる。
亮平の掌越しにも分かるくらい、鼓動は忙しなく跳ねていた。
翔太💙「そ、それはっ……!」
亮平💚「原因は何だと思う?」
翔太💙「知らない!」
亮平💚「抱っこによる一過性頻脈かな♡」
翔太💙「そんな病名ない!!」
蓮 🖤「いい加減にしろ亮平。だいたい、密着しすぎだ」
翔太💙「りょうへい?やっぱりふたり……」
〝可愛いんだもん。翔太が悪い〟なんて、面白がるように笑う亮平の向こうで、蓮が呆れたように息を吐く。
蓮🖤「お前、顔真っ赤だぞ」
翔太💙「うるさい……」
亮平💚「可愛い♡」
翔太💙「うるさいったら///」
蓮の口角が上がる。
それを見た亮平も楽しそうに肩を揺らした。
二人の笑みを見た瞬間。
翔太の背筋を嫌な予感が駆け抜けた。
数分後――
翔太はまだ知らなかった。
江戸川ルールなど可愛く思えるほど、
全国には恐るべき地方ルールが存在することを――。
コメント
7件

ないのよ、そんな地方ルール🙈 でも楽しみ、千葉ルール😍😍😍
なんかごちゃごちゃ?なってしまった😅 投稿サボっちゃってました💦一向に話が進まない🤦どうしたものが…きっとUNOのせい🤣