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明花永(あかな)
12
#普通
野々さくら
202
ドラゴン店長
30
それから数日後。
さくらの容態は日を追うごとに少しずつ回復し、学校へ通えるまでになっていた。
そしてある日の夕方。
信愛、茜、さくらの三人は、例の偽心霊スポット騒動について、信愛の家で銚子から話を聞かれていた。
銚子は腕を組み、3人を順番に見渡す。
「話は大体わかったわ」
一度息をつくと、その表情はさらに厳しくなった。
「でも、いくらなんでも軽率すぎるわ?」
信愛は肩を落とし、申し訳なさそうに俯く。
「ごめんなさい」
すると、さくらが勢いよく顔を上げた。
「待ってください!」
その真っ直ぐな瞳には、決意が宿っていた。
「悪いのは私たちなんです」
すぐ隣で茜も深く頷く。
「そうです!さくらの言う通りなんです!」
「本当にすいませんでした!」
二人は同時に深々と頭を下げた。
その姿を見て、信愛は思わず胸が熱くなる。
「みんな・・・」
張り詰めた空気の中、不意に穏やかな声が響いた。
「まぁまぁ、銚子!」
白縫多摩雄が苦笑しながら口を開く。
「その辺にしといてあげな!」
腕を組んだ銚子は少し不満そうに夫を見つめると、多摩雄は3人へ優しく視線を向けた。
「誰だって最初は信じられないだろ?
霊感があるなんて漫画みたいな話」
鋭子も小さくため息をつきながら頷く。
「ま、まあ、そうだけど・・・」
「この子達も反省してるみたいだし
今日のところは許してやったらどうだ?ん?」
しばらく沈黙が流れたあと、銚子は観念したように肩の力を抜いた。
信愛はほっと胸をなで下ろす。
「お父さん・・・」
鋭子は3人を見つめ、静かに口を開いた。
「まあ、そうね・・・分かったわよ
今回の件はこれ以上言及はしないわ」
一呼吸置き、念を押すように続ける。
「でもいい?」
3人は真剣な表情で姿勢を正した。
銚子は一人ひとりの目を見ながら、力強く言う。
「今後は霊を軽んじる行動は慎む事!分かった?」
信愛はまっすぐ頷いた。
「はい・・・」
さくらも神妙な面持ちで頭を下げる。
「分かりました・・・」
茜も背筋を伸ばし、力強く答える。
「気をつけます・・・」
鋭子は3人の返事を聞くと、小さく頷いた。
部屋に漂っていた重苦しい空気は少しずつ和らぎ、3人もまた、この出来事を胸に刻みながら、それぞれ新たな一歩を踏み出そうとしていた。
そんな時。幼い女の子がニコニコと笑いながら信愛に駆け寄る。
「許してもらえてよかったね信愛♬」
信愛も思わず頬を緩めた。
「うん・・・よかった・・・」
その様子を見ていた茜が、不思議そうに首を傾げる。
「あれ?信愛に妹って居たの?」
信愛はきょとんとした表情を浮かべた。
「え?妹?何?妹って?」
茜は女の子を指差す。
「その子だよ! ほら!」
信愛は指差された先へ視線を向けるが、首を横に振った。
「え?誰?」
さくらも困惑したように辺りを見回す。
「え? 知らない子?」
「うん・・・全く」
女の子は信愛の返答を聞くと、大きく目を見開いた。
「えーー!?忘れちゃったの!?信愛ひどーい!」
ぷくっと頬を膨らませ、今にも泣き出しそうな顔になる。
「せっかく会いにきたのにぃ〜」
まるで拗ねた子どものようなその様子に、信愛は申し訳なさそうに眉を寄せた。
「なんで私の名前を・・・」
その瞬間だった。
信愛の脳裏に、”あの日”見た記憶が一気によみがえる。
「!!!!!!!」
目を大きく見開き、震える声で少女の名を呼んだ。
「も、もしかして、か、佳苗!?」
少女は満面の笑みを浮かべ、勢いよく頷く。
「ピンポーン! 当たり!なんだ〜信愛
私の事忘れてないんじゃん!よかったぁ♬」
茜は目を丸くする。
「佳苗って?もしかしてあの?」
信愛は静かに頷いた。
「うん、あの佳苗だよ・・・」
さくらも息を呑む。
「私に取り憑いてたって言うあの?」
「うん、あの佳苗だよ・・・」
佳苗は二人へ笑顔で手を振った。
「やっほ〜♬」
その姿を見た瞬間、茜とさくらの表情は一変した。
「ぎぃゃあぁあぁあぁあぁあ(恐)」
二人は顔を引きつらせ、その場にしゃがみ込む。
茜は半泣きでハンカチを広げて両手で振り回した。
「悪霊退散!悪霊退散!」
さくらも必死に念仏を唱え始める。
「南無阿弥陀仏!南無阿弥陀仏!」
佳苗はぷくっと頬を膨らませ、不満そうに二人を見つめた。
「悪霊なんてひどーい!」
そう言うと、そのまま信愛へ勢いよく抱きつく。
「信愛ー!いじめられたー!」
信愛は佳苗の頭を優しく撫でながら、なおも信じられないという表情を浮かべていた。
「いや、でも、なんで佳苗が?」
「あの時、佳苗は私が祓ったし
空に昇る光だって確かに見たよ?」
佳苗は当たり前のように笑う。
「ちゃんとお母さんには
信愛に会いに行ってくるって言って来たよ?」
茜は思わずツッコミを入れた。
「いや、そんな友達の家に遊びに行く
的なノリで来れるもんなわけ?」
さくらも困惑したまま首を傾げる。
「どういうルール?」
佳苗は小さく笑い、信愛を見上げた。
「というか佳苗?お母さんに会えたの?」
「うん♬今は一緒に居るよ♬
これもぜ〜んぶ信愛のおかげ♬」
佳苗は満面の笑みを浮かべ、両手を合わせる。
「ありがとうね♬信愛♬」
「よかった・・・」
信愛は安堵の表情を浮かべる。
コメント
1件
×××さん、こんばんは、みぅです🤍🥀 今回の話、すごく温かい気持ちになりました…!さくらちゃんが回復して学校に通えるようになって、本当によかった。三人で頭を下げて謝るシーン、胸が熱くなりました。そして最後の佳苗ちゃんの登場、“ちゃんとお母さんに会いに行くって言ってきたよ”って言葉にじーん…。あの日信愛がちゃんと届けたんだなって。重い空気がふわっと軽くなって、読んでてほっとしました🌙 続き、静かに待ってますね。