テラーノベル
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『日本で初めてRが生まれた日だ』
その言葉が。
204号室に響いた。
「……何を言ってる」
俺は画面を睨む。
「Rは闇バイトの人間じゃないのか」
スピーカーから。
静かな声が返ってきた。
『闇バイトは』
『Rが作った仕組みの一つにすぎない』
俺は言葉を失う。
「……一つ?」
『人は』
『金で動く』
『恐怖でも動く』
『だが』
『最も人を動かすものは』
少し間が空く。
『選ばれることだ』
画面が切り替わる。
古い白黒写真。
病院。
工場。
学校。
時代は違う。
場所も違う。
でも。
どの写真にも。
胸元へ赤い「R」を付けた人物が一人だけ写っていた。
「全部……同じ印?」
美咲が呟く。
『時代は変わっても』
『Rは消えなかった』
『役割だけが受け継がれてきた』
俺は写真を見つめる。
「父さんも」
「蓮も」
「Rだった」
『正確には』
『Rになろうとした』
「違うのか?」
『本当のRは』
『一人しか存在できない』
その瞬間。
俺の背中に冷たいものが走った。
「一人……」
『だから選ぶ』
『だから争う』
『だから失う』
画面に。
新しい映像が映る。
2018年。
204号室。
若い蓮がいた。
俺は息を止める。
「蓮……」
蓮は誰かと向き合っている。
相手の姿は逆光で見えない。
それでも。
蓮の表情だけははっきり見えた。
恐怖じゃない。
覚悟だった。
映像の中で。
蓮が小さく頷く。
そして。
何かを差し出した。
銀色の鍵。
204号室の鍵だった。
『君を守る』
音声が入った。
初めて。
蓮の声だった。
『悠真には』
『絶対に知らせるな』
映像が途切れる。
俺は動けなかった。
「……兄貴」
美咲が俺の肩に手を置く。
「悠真」
俺は首を振る。
「ずっと」
「俺を守ってたのか」
スピーカーの声が静かに響く。
『そうだ』
『蓮は』
『自分で選んだ』
俺は叫ぶ。
「だったら!」
「今どこにいるんだ!」
沈黙。
そして。
短い返事。
『その答えは』
『もうすぐ分かる』
部屋の奥で。
カタン。
小さな音がした。
俺と美咲は同時に振り向く。
壁だと思っていた場所が。
ゆっくり横へ動く。
隠し扉。
その奥には。
細い通路が続いていた。
冷たい空気が流れてくる。
「こんなの……」
美咲が息をのむ。
今まで誰も知らなかった通路。
その先の壁には。
一枚の古びたプレート。
俺はライトを向ける。
そこには。
こう刻まれていた。
**『R管理区画』**
「管理……区画?」
俺は通路を見つめる。
病院の地下へ続いている。
スピーカーから。
最後の声が響いた。
『ここから先は』
『覚悟のある者だけが進める』
『悠真』
『君は』
『真実を知る覚悟があるか』
俺は。
一度だけ目を閉じた。
思い出す。
海斗。
闇バイト。
消えた参加者。
父さん。
母さん。
美咲。
蓮。
ここまで来て。
引き返す理由なんてない。
俺はゆっくり目を開く。
「行く」
美咲が隣で頷く。
「私も」
俺たちは。
暗い通路へ。
一歩足を踏み入れた。
その瞬間。
背後で。
204号室の扉が。
ゆっくり閉まる音が響いた。
もう。
後戻りはできない。
俺たちは。
Rの始まりへ向かっていた。
(第五十六話へ続く)
コメント
1件
うわあああ第55話やばすぎる😭💦 Rがただの闇バイト組織じゃなくて、もっと根深い仕組みだったなんて衝撃すぎる…! 蓮が悠真を守るために全部選んでたってのがもう胸にくるよ…「絶対に知らせるな」って言葉が重すぎる。 そしてまさかの隠し通路と「R管理区画」!? 壮絶な覚悟決めて踏み出した悠真と美咲、続きが待ちきれないよ…!! 次話が楽しみすぎる🌸
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