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私
の名前は山岸由香里。
私立探偵をしている。
依頼人の家に向かう途中で、小さな女の子を見かけた。
その子の後をつけていくと、人気のない公園に行き着いた。
彼女はベンチに座って何かを食べているようだ。
こっそり近づくと、彼女の足元には真っ赤な花が咲いているではないか。
「これってもしかして……」
私がそうつぶやきながら近寄ると、少女は驚いて立ち上がり、逃げ出した。
慌てて追いかけるが、まったく距離が縮まらない。
私は息切れしながら、「ちょっと待って…….少し休ませて……」と言うと、二人は呆れた顔をしながら私を見つめていた。
その時だった。どこからか女の人の声が聞こえてきたのだ。
「あら?お客様?」と。
二人が警戒している中、私は辺りを見回したが誰もいない。
そう思っていた時、突然目の前の地面が大きく盛り上がったと思うと、大きな穴が現れた。
そこには、長い黒髪の少女が座っていた。彼女は立ち上がりながら言った。
「ようこそ、夢幻の里へ。さぁ、入ってください。ここは楽しいですよ」
少女が手招きするので、恐る恐る近づくと、なんと彼女の後ろに大きな扉が現れ、開いた。
私たちは吸い込まれるように扉の中に入ると、そこは不思議な空間が広がっていた。
「ここは一体……」「あれ!?お姉ちゃんがいない!!」と澪が叫ぶ。
慌てて二人で探すと、繭の姿がない。
私はパニックになりながらも、とにかく出口を探すことにした。
しばらく歩くと、広いホールに出た。そこにあった椅子に腰かけると、いつの間にか隣にいた女の子が話しかけてきた。その子は、どうやら村の生き残りらしく、ずっとここに隠れているのだという。
少女の名前は真奈といい、年齢は8歳だという。
真奈によると、村は昔は栄えていたが、ある日突然人が失踪し、村には誰もいなくなったそうだ。それからは、まるで時間が止まったかのように、何も起こらなかった。ただ、時々どこかへ出かけていく人がいるだけだったと言う。
そして真奈の話を聞いていくうちに、だんだん澪の顔色が悪くなっていく。
どうしたのかと聞くと、「ここは……あの時の村だわ」と呟く。
どういうことなのかと尋ねると、澪は震えながら答え始めた。
「わたしが小学4年生だった頃、お母さんと一緒に、お父さんのお見舞いに行ったの。その時にね、お父さんが教えてくれたんだ。『お父さんとお母さんは、神様にお願いされて、遠くに旅立ったんだよ』って」
その言葉を聞いた瞬間、繭はまた意識を失い、倒れてしまった。
病院に運ばれた繭は、植物人間になってしまう。
それから数年後……
澪が繭のお見舞いに行った時だった。
ベッドの上にいた繭が目を覚ましたのだ。しかし様子がおかしい。
まるで別人格のように、口数が少なくなっている。しかも体中にツタのようなものが絡みついているようだ。
さらに不思議なことに、その体は半透明になっていた。
不思議に思った澪が尋ねると、「ここはどこ?」などと意味不明なことを言い出した。
繭の様子は明らかにおかしくなっていた。
「きっと疲れてるんだよ。休んでいこう」「うん……そうだね」
そう言って二人は朽ち果てた家に入り込む。
その家はまるで廃墟のように荒れていた。
しかし中に入ると意外にも綺麗に片付いている。
繭はここで休むことにした。
だが突然、天井が崩れ落ちてきて、2人を押しつぶしてしまう。
そして、そのまま意識を失った。