テラーノベル
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深夜の楽屋。阿部亮平は、一人パソコンに向かってキーボードを叩いていた。
クイズ番組の予習に、連載の原稿チェック。
真面目な彼は、少しの空き時間も無駄にしない。けれど、その背中は明らかに疲労で小さくなっていた。
「……あべちゃん」
不意に、背後から低い声がかかった。
振り返る間もなく、阿部の体は強い力で抱きすくめられた。
佐久間大介だ。
「……うわっ、佐久間!? びっくりした……」
「お前、根詰めすぎ。……眉間のシワ、取れなくなるよ?」
いつもの「ニシシ!」という高い笑い声はない。
佐久間は真剣な眼差しで阿部を見下ろすと、パソコンをパタンと強制的に閉じた。
「あ、ちょっと……まだ途中……」
「ダメ。強制終了」
佐久間は阿部の手首を掴むと、グイッと引いて、そのままソファへと押し倒した。
「……佐久間、なに……?」
「阿部ちゃんはさ、頭いいし何でもできるけど」
佐久間が阿部の上に覆いかぶさる。
小柄な体格からは想像できないほどの、男らしい力強さと圧力。
普段の「可愛い佐久間」とは違う、雄の顔。
「……自分の限界に関しては、バカだよね」
「……っ、」
「俺には分かるよ。阿部ちゃんがどんだけ無理してるか」
佐久間の指先が、阿部の頬をゆっくりと撫でる。
その熱っぽい視線に、阿部の心拍数が跳ね上がる。
「……佐久間、近い……」
「近くないと分かんないでしょ? ……ほら、力抜いて」
佐久間が阿部の首筋に顔を埋め、深く息を吸い込む。
そして、甘噛みするように唇を寄せた。
「……っ! んぅ……!」
「阿部ちゃん、いい声出るじゃん」
「……からかわないで……っ」
「からかってない。……愛してるだけ」
佐久間が顔を上げ、潤んだ阿部の瞳を覗き込む。
「俺は、阿部ちゃんがボロボロになる前に支えたいの。……共通点ゼロだけど、心は一番近くにいたいんだよ」
「……佐久間……」
「だから……今は頭空っぽにして、俺に甘やかされて?」
甘くて、少し強引な命令。
阿部は観念したように息を吐き、佐久間の背中に腕を回した。
いつもは自分が甘やかす側だと思っていたのに、この男の懐の深さと、直球の愛情には敵わない。
「……分かった。……降参だよ、佐久間」
「んふふ、いい子」
佐久間は満足そうに笑うと、阿部の唇に優しいキスを落とした。
計算も理屈も通用しない、本能的な愛の熱量。
秀才・阿部亮平の思考回路は、この夜、佐久間大介によって完全に停止(ショート)させられるのだった。
next…いわあべ 1/11
コメント
4件
大丈夫だよー! めっちゃいい作品!さっくんのかっこよさとあべちゃんのちょっとしたふわふわ感がたまらない!
また忘れておりました… 本当にすみません🙇♂️