テラーノベル
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ホテルの部屋。阿部亮平はデスクライトの明かりの下、明日のクイズ番組の資料を読み込んでいた。
集中モードに入った阿部の背中は、少し頑固で、人を寄せ付けない空気を放っている──はずだった。
「……なぁ、亮平」
背後から、岩本照の低い声が鼓膜を揺らす。
次の瞬間、阿部の肩にずしりと重みがかかった。
岩本が背後から覆いかぶさり、阿部の肩に顎を乗せたのだ。
「……照、重いよ。……今、集中してるから」
「やだ」
岩本は子供のように即答すると、さらに阿部の腰に腕を回し、ギュッと抱きしめた。
筋肉質のたくましい腕が、阿部の細い腰を完全にロックする。
「お前、さっきから一時間もこっち見てねぇじゃん」
「資料読んでたんだよ」
「俺より資料が大事かよ」
「……そんなこと言ってないでしょ」
阿部が苦笑しながら振り返ろうとすると、至近距離に岩本の顔があった。
拗ねているような、でも甘えたような瞳。
強面リーダーの、阿部にしか見せない「彼氏」の顔だ。
「……亮平。充電切れ」
「……照は甘えん坊だなぁ」
「うるせぇ。……お前でしか充電できねぇんだよ」
岩本はそう言うと、阿部の首筋に唇を寄せ、チュッと音を立てて吸い付いた。
「……っ、ひゃっ!? て、照!?」
「……こっち向けよ」
岩本が阿部の椅子を強引に回転させ、自分の方に向き合わせる。
そして、そのまま阿部を抱き上げ、自分が座っていたソファへと連れ込んだ。
阿部は岩本の太ももの上に座らされ、逃げ場を失う。
「……もう、強引なんだから……」
「お前が構わねぇからだろ」
岩本は阿部の背中に手を回し、胸板に顔を埋めさせた。
ドクン、ドクンと力強い心音が聞こえる。
阿部はその音と、岩本の体温に包まれて、張り詰めていた集中力がふっと溶けていくのを感じた。
「……ごめんね、照。寂しかった?」
「……別に。……ただ、亮平の匂い嗅ぎたかっただけ」
岩本が阿部の髪に顔を埋め、深呼吸する。
その姿が、大きな大型犬が飼い主にじゃれついているようで、阿部は愛おしさで胸がいっぱいになった。
「……よしよし。俺も、照とくっつきたかったよ」
阿部が岩本の頭を優しく撫でると、岩本は気持ちよさそうに目を細め、阿部の唇に甘いキスを落とした。
「……ん……」
「……亮平、好きだ」
「ふふ、俺も大好きだよ、照」
資料も勉強も、もうおしまい。
同い年の恋人が仕掛ける甘い妨害工作には、IQの高い頭脳派も勝てない。
この後は朝まで、二人だけの甘い補習授業(イチャイチャ)が続くのだった。
next…ふかあべ 1/12
コメント
3件
あまあまひーくんもいいねー! あべちゃんの勉強力には驚きだ 続き楽しみに待ってます!