テラーノベル
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佐久間と口論をして楽屋を飛び出してから、一週間が経った。
仕事現場での二人の空気は最悪だった。
一歩裏に入れば視線すら合わせない。
緑「はぁ……」
テレビ局の長い廊下、阿部はポツリとため息をついた。
佐久間が恋しくてたまらないのに、顔を見ると胸が苦しくなる。
その時、後ろから「おい、阿部」と鋭い声が掛かった。
振り返ると、渡辺翔太と宮舘涼太――ゆり組の二人が並んで立っていた。
緑「あ、翔太、舘さん。どうしたの?」
阿部が無理に笑顔を作ると、翔太はいつも以上に不気味なくらい不機嫌そうな顔で腕を組んだ。
青「どうしたの、じゃねぇよ。お前ら分かりやすすぎんだよ。楽屋の空気、氷点下になってんだけど」
緑「……ごめん。俺のせいで、みんなに気まずい思いさせて」
俯く阿部の前で、翔太が
青「お前のせい、っていうか……」
と言い淀む。
すると、隣にいた宮舘が、自然な動作で翔太の腰のあたりにそっと手を添え、優しく引き寄せた。
(……え!? いま舘さん、流れるような動作で翔太の腰に触れたよね!? 翔太も一瞬ビクッとしたけど、怒らずに受け入れてる……!?)
阿部のオタクアンテナがゆり組のあまりにもナチュラルな密着を敏感に察知した。
二人はメンバーに隠して付き合っているつもりかもしれないが、阿部から見れば、熟年夫婦のような「秘密の甘さ」が駄々漏れだった。
(あぁ、尊い……! 自分の失恋の危機なのに、ゆり組が尊すぎて心臓がもたない……!)
脳内で大パニックを起こしかける阿部に対し、宮舘は静かに語りかけてきた。
赤「阿部、ちょっと耳の痛い話かもしれないけれど、聞いてくれるかい?」
赤「……佐久間のことなんだけどね。あいつ、最近女の子と付き合い始めたって噂を聞いたよ。ずいぶん親しげに街を歩いていたって」
ドクン、と心臓が嫌な音を立てた。
全身の血の気が一気に引いていく。
(あんなに熱い目で『本気だ』って怒ったくせに。俺を突き放して、もう他の誰かに乗り換えたんだ……)
緑「……そっか。別に、俺はどうでもいいし。関係ないから」
阿部は引き攣る唇を必死に動かして、平静を装おうとした。
その態度を見た翔太が、ついに痺れを切らしたように、顔を真っ赤にして声を荒らげた。
青「そんなんだから拗れるんだろ!お前、全然どうでもよさそうな顔してねぇぞ!」
翔太の怒声に宮舘が優しく
赤「翔太、落ち着いて」と声をかけ、その手をそっと握る。
翔太は「……うっせ」と悪態をつきながらも、握られた手を振りほどこうとはしなかった。
(ひえぇぇぇ! 廊下で公開手繋ぎ!? 隠す気あるの!? 翔太がツンデレ全開で、舘様が包容力王のそれ……!!)
阿部は切なさの極致にいながらも、目の前で繰り広げられるゆり組のリアルな恋愛模様に、脳内が別の意味でも大パニックだった。
そんな阿部を見つめ、宮舘が厳しくも温かい目で語り直す。
赤「もっと自分の気持ちに素直になりなよ、阿部。本当にどうでもいいなら、そんなに悲しい顔はしないはずだ。逃げていたら、本当に大切なものを失うよ」
ゆり組の二人の言葉、そして二人の強い絆を見せつけられたことで、阿部が頑なに張っていた心のバリアは、完全に粉々に打ち砕かれた。
(嫌だ……。あのだてなべみたいに、俺も佐久間とちゃんと向き合いたい。誰かに取られるなんて、絶対に嫌だ……!)
緑「翔太、舘さん……ありがとう!」
阿部は二人に向かって頭を下げると、涙を拭いもせず、佐久間がいるはずの楽屋へと全力で走り出した。
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コメント
3件
お疲れさま~!!第3話読み終えたよ🌸✨ 阿部くんのオタク気質がゆり組の密着に反応しちゃうの、切ないのに笑っちゃったww「自分の失恋の危機なのに尊すぎて心臓もたない」って、阿部くんの感情忙しすぎん??😂💕 翔太と舘さんのアドバイスが“現実の恋愛”も“推しカプの理想形”も同時にぶっ刺してきて、涙腺に来たよ…最後走り出すシーン、マジで応援したくなった!!佐久間くんとの行方、次が待ちきれない🥺💫