桜舞い散る季節、僕の最寄りの駅には数本の桜の木が植えてあり、電車、駅、桜と三拍子揃った、撮り鉄にはもってこいの駅である。
そんな駅前の踏切の前、姉御は立ち止まって数分が経つ。
「姉御何をみてるんですか?」
姉御は最寄り駅の踏切の前から駅のほうをジーと見つめながらタバコに火をつける。
「ジューッ ふぅ~」
姉御はだまったまま、夕暮れ時の駅のホームを眺めていた。
「ふみきり!渡らないんですか?」
「ネギ少しだまってあっちみてみろ😡」
姉御はホームを指差す。
「えっ」
ホームから人が飛び降りた。。。
そして線路に吸収されるように消えていった。。。
「あれ何ですか⁉️」
「自殺者の霊体だ。。」
次から次へと現れてはホームから線路に飛び降りる。その景色はなんとも言えない光景であった。左右のホームから、何十人という数の人が飛びおりては消え、そしてまた、飛び降りては消える。
「ネギ、クソガキどもが肝試しでいく、ダムとか自殺スポットは精々年に1人、2人くらいだろう」
「あんなとこ行くより、こっちの方が自殺スポットだ」
僕たちの最寄りの駅は、調べた情報だと10年で40人近く飛び込み自殺があったようだ。
列車飛び込みは手慣れた手つきで大きな肉片を広い、血痕は水で流し1時間半くらいで処理をしてしまう。
「このソメイヨシノはあいつらの血肉を吸い上げ、春に見事な花を咲かせている」
死者たちはリピート再生のように繰り返し飛び込みを続けている。
「あいつらは、まだ成仏できない。自分が生きるはずだった年月これを繰り返すことになる。」京子
「最後の瞬間の感情、痛みを繰り返さないといけない罰がまっている。」京子
姉御いわく、自殺は逃げ道ではなく地獄の始まりだと言っていた。
あの自殺したくなるほどの精神を追い込まれるダメージと、跳ねられるダメージを繰り返さないといけないからだ。
僕もイジメには散々苦しめられてきたから自殺者の気持ちがわからないわけじゃないけど、姉御の言う通り、こんな結末なら生きた方がマシだと思った。
「切ないなぁ」京子
「どうしたんですか?」ネギ
「あんな至近距離で霊体が隣合ってるのにお互い見えてないだろ、生きてる時に霊感がないやつは、死んでも霊体は見えない。」
自分の体さえも見えなくなるから段々、元の自分もわすれちゃうんだょ」
「なんでそんなこと分かるんですか?」
「一番手前の女の顔見てみろ」
「顔の輪郭はあるけどのっぺらぼうみたいに目や鼻や口がないです。。。」
「それがあいつらの末路だ、そのうち全て忘れて、霧状になったり、モヤみたいになっちまう。」
「駅だからな地蔵や献花もできないし、何十年とあれを繰り返すしか道はない。」
僕もいじめられて殴られていたいた時は彼らのように死にたいと思った時は何度もあった、僕は姉御に出会わなかった時の末路の自分を見てるような感じがした。
ポンっポンっ
姉御が僕の頭を軽く叩いた。
「ネギ、お前は変わった、奴らのようにはさせない。」
姉御はそう言うと黄昏の街の中へ去っていった。
※駅、桜とも実在します。
🌟次回予告🌟霊媒の依頼が姉御に届く。。。本当に取り憑かれているのか?そして霊媒をするのか?
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