あてんしょん
syp×ci で例の 誰か〜助けて〜! のゲームのパロみたいなのです。
かなり意味不明。
それでもいい方はどうぞ
最終下校を告げるチャイムが鳴り終わり、校門の前は数多の生徒で溢れかえっている。
その人混みの中で俺を呼ぶ声がした。
ut「syp〜!」
syp「ん、大先生と、shoさんも」
彼らは俺の一つ上の先輩。部活は違うが、もう一人の先輩経由で仲良くなった。
sho「うぇ〜い、syp君元気?」
syp「はい、部活終わりですか?」
ut「せやねん。でさ、今日部活で発掘したゲームで紹介したいのがあって」
syp「はいはい」
ut「スマホゲームやねんけど、これ」
と言って、彼が見せてきたのは『絶望スケイプ』と題名が書いてある例の詐欺広告のようなオープニング画面。
syp「これ、鍵引き抜く系ゲームに見せておいて、中身全然違うタイプの…」
ut「あながち間違ってはいないなw」
syp「で、どんなゲームなんです?」
sho「うーん、キャットアンドチョコレートっていうゲーム知っとる?それに近い感じで、ランダムで与えられるアイテムだけを使って主人公を救うんやけど」
syp「は、はあ」
ut「うんまあやってみねえとわかんねえだろ。めちゃくちゃにカオスでおもろいから」
sho「たまに理不尽やけどなw」
syp「ふふ、バカゲーの予感しかしないっすねw」
ut「まあ、そういうわけだから、ばいばーい」
sho「塾遅刻する〜!」
そう言って二人は走っていってしまった。家は反対方面。それに二人は電車通学だから、いくら仲良くなっても一緒に帰ることはない。
絶望スケイプ、ね。
どんなゲームなんやろ。
さっさと課題を終わらして、スマホの画面を開き、「絶望スケイプ」と検索にかける。
すぐにアプリ追加のところに辿り着き、勢いに任せてインストールした。
陽気で妖しいBGMと共に、無駄に彩度の高い画面が現れる。
syp「はーん、なるほど〜?」
タップでスタート、と書かれているボタンを押したら、すぐにゲームが始まった。
そっからは、カオスの連続。
syp「は?ピザガチャ?なにこれ」
syp「このアイテムでどうせいっちゅーねん!」
syp「審判がおんねや…、ゴッド?って奴なにこれ」
syp「これは無理やろ!」
syp「はー、意味わからん!」
syp「おっしゃ!この方法で救えるんかコイツw」
気付けば朝日が窓から差し込んでいる。しまった。今日の授業は寝るしかないか。
syp「はー、なんか、おもろかったな」
このゲームの何にハマってしまったのかはわからないが、一つお気に入りポイントがあるとしたら主人公が意外に可愛い。
デフォルメで描かれているので本来はどういう顔なのか詳しくはわからないが、それでも愛嬌を感じる。
syp「飯食わんと…」
腹は全く減っていない。でも、まあ、多少なら入るやろ。さっさと食ってさっさと家を出よう。
放課後、先輩たちの部活に遊びに行った。
『我々部』という部活で、正直何をしてるか全然わからん。ゲーム同好会みたいなもんやろか?
ut「で、どうやった?」
syp「ハマりました。今日徹夜しましたもん」
ut「マジかよ!?」
syp「え、おかしいっすか?」
ut「いや、正直sypにはあんま刺さらんと思ってた」
syp「なんでっすかw」
ut「何がよかったん?」
本当のことを言うわけにはいかない。適当に答えとくか。
syp「カオスすぎて面白かったです」
ut「そうか、まあ気に入ってくれたんならよかったわ」
会話はそれぐらいにして、俺はさっさと部室を出た。思ったよりあのゲームはストーリー性があり、続きが気になっているのだ。
それから数カ月。突然、絶望スケイプは終了する、と公式から通知が来た。
せっかくこんなにやりこんで、あと残すステージも僅か、となっていたのに。最悪や。
syp「嘘やろ…」
ちらり、と画面を見る。いつも通りの画面に音楽。そして、主人公の彼。
情けなく「誰か〜、助けて〜!」と叫ぶ彼は、もうすぐこの世界から消えてしまう。今のうちにスクショでもしとこうかな、なんて馬鹿なことを考えてしまう。
こんな、たった一つの小さなゲームなんだから。どうせすぐに熱冷めるやろ。
そう思っていても、なんだか無性に寂しくなってしまった。
syp「お前のこと、なんやかんや好きやったのに…」
放課後の誰もいない教室で、一人でぽつりと呟く。
学校にいてもやることがない。そう考えた俺は、そそくさと教室を出た。
その数日後、本当に絶望スケイプは消えてしまった。
***
syp「お前のこと、なんやかんや好きやったのに…」
届くはずのない声が、今、確かに俺のもとに聞こえた。2次元と3次元を隔てる液晶は、その瞬間何の意味もなさなくなった。
ここまで熱心にプレイしてくれたプレイヤーは、ほとんどいなかった。だいたいの人は、10個目のステージくらいで、俺を置いてもう帰ってこなくなった。
だから、俺の中で、彼は大事な人になっていた。一生懸命俺のために悩んで、怒って、喜んで。そのたびに普段は無機質な紫の瞳が、色々に変化するのが嬉しかった。
でも、もう、おさらば、やな…
彼にこの声は届いていない。ねえ、ゴッド、いや、誰でもいいんだ。この思いを抱えた俺を
ci「誰か、助けてよぉ…」
***
ワイのクラスに、転校生がやって来るらしい。この時期に珍しいな、なんて思ってると、あっという間に朝礼の時間になり、担任がいつもより堅い顔つきで入ってきた。
「前々から言っていたとおり、今日は転校生が来ました。仲良くしてやれよ」
先生が、扉の方に合図をすると、程なくして転校生がやって来た。
だけど、余りにも彼の姿には見覚えがあって…。
ci「こんにちは!転校してきたciです、よろしくお願いします!」
その瞬間、俺の心臓はぎゅっとなって、どんどん鼓動が激しくなっていった。
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こんにちは、てってれーです。
ciくんを現世に呼び出したのは恐らくゴッドさん。
絶望スケイプ、マジで伝説の企画すぎて。毎回ぶっ飛んだ発想が出てきて大好きです。
コラボ先の方の情報も結構知れますしね。
というわけで、さようなら〜
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