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この作品はnmmn二大禁です。全てがフィクションであり、実際に存在する方々や団体などとは一切関係ありません。ありがたいことにコメントを頂ける際は、伏字など対策をお願いします。
ルールを守って楽しみましょう。
cp: なし。強いて言うならメンバー愛
cp要素はあまりありません
生死の描写が含まれます
シリーズ物です
side: 🩷
「ふっかが血を流して倒れていた」
阿部ちゃんは酷く息を切らした状態で、俺たちにそう報告した。意味が分からない。なんで、どうして、ふっかが。
「……そんな訳ないだろ」
翔太がそう言うけれど、俺たちは阿部ちゃんがこんな嘘を言う訳ないのを痛いぐらいに知っていた。
すると照が、震えた手を握り締めたように言った。
「……ふっかのとこ、連れてって」
「分かった。みんなも来て」
「「もちろん」」
───
阿部ちゃんに案内された場所に、ふっかはいた。俺含め、阿部ちゃん以外の7人全員がその場に崩れ落ちた。
「なんで、こんな……!」
「……ほんと意味分かんない」
「ふっかさん、目ぇ覚ましてや……起きへんの?」
「ふっか……なんで……」
皆の反応を見て、ふっかの死体を見て、苦しくなった。
俺はふっかの死体を見ていると、あることに気付いた。
「……これ動物の爪痕だ」
「!!…ほんとだ……」
「じゃあふっかは動物に殺されたの?」
「多分……そう」
動物に殺された。これだけの血が出ているならそう、例えば熊……無人島に居てもおかしくはない。
「なんでふっかが殺されなきゃいけなかったの」
舘さんが苦し紛れにそう零すのを聞いて、本当に悔しかった。本当にその通りだ。
熊がいたとして、なんで、ふっかが殺されなきゃいけなかったのだろう。
あいつは優しい人なのに。
こんな所で、こんな死に方していい人ではないのに。
「……阿部ちゃん?」
ふと阿部ちゃんを見て、明らかにカタカタと震えていることに気付いた。
「ぁ、あ……ぁ……おれ、が、おれが……」
「阿部ちゃんっ?どうしたの、しっかりして!」
「俺が、もっと、ふっかに言っておけば……っ」
「阿部ちゃんのせいじゃねえだろ!そんなの言ったら俺たちだってそうじゃん!」
「違う、俺は、ふっかに…言って……ッ」
うわ言のように自分を責める阿部ちゃんを見て、肩を掴んでそんなことは無いと叫ぶけど、阿部ちゃんには届いてないようで。
ぷつりと糸が切れたみたいに、阿部ちゃんは失神した。
side: 💚
「……っあ…!」
目が覚め、すぐに辺りを見渡す。そこは変わらず無人島だった。
海ではしゃいでるめめと康二とラウールを見て、楽しそうで思わず微笑ましいなと思う。
……微笑ましいな?
なにがだよ。ふっかが死んだのに、なんで? なんであの3人はまたはしゃいで……
「っ!!…………ふっ、か……」
「んあ?阿部ちゃんどしたの」
まさかと思って横を見る。すると、死んだはずのふっかが俺の横にいた。
ふっかは手を海の方にかざしている。
見たことがある、その仕草。今朝に見たばかりの、このシチュエーション。
……意味が分からなかった。
「なんで、ふっか、生きて……」
「えっ?何その言い方!俺生きてっからね?!」
「違う、だってお前は……熊に……」
「熊?まあ確かに無人島だしな。でもスタッフさんが注意してくれてるし大丈夫じゃね?」
伝わらないふっかに苛立って、つい声を荒げる。
だって意味が分からない。なんで血を流して倒れていたはずのお前が、死んだはずのふっかが今生きているのか。なんであの3人は今朝みたいにはしゃいでいるのか。
「そうじゃない……お前、なんで生きてるんだよ!!」
「……え、何。ガチの話?」
「ああガチだよ!!覚えてないの!?」
「え……ほんとに覚えてないわ。てか俺が生きてるから今ここにいるんだけど」
「…………そんな……こと……」
ある訳ないのに、今俺の目の前にそれがあると証明している奴がいる。
すると、佐久間が背後からずいっと顔を出してきた。
「阿部ちゃんふっか何してーんの!俺も混ぜてよ!」
「騒がしい奴がきたなぁ」
「……さく、ま……」
「ん!佐久間さんだよ〜〜!何話してたの?」
「いや聞いてよ佐久間!阿部ちゃんが変な事言うの〜……」
佐久間は聞いたことある挨拶をして、それに対してのふっかの返しも、聞いたことがあって。
強烈な既視感……デジャヴ。いやそんな感覚的な物じゃなく、俺には確信があった。
俺だけが、おかしいのだと。
俺だけが──タイムループしているのかもしれない。