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和也、着いたぞ。ここは俺とお母さんの思い出の場所なんだ。ここで俺はお母さんにプロポーズをしたんだよ。
え?何にもないじゃないかって。そうだな。ここには少し前まで東京タワーっていう鉄塔が立っていたんだよ。
偉大な先人達が、まだ技術も発展してない時代に当時の日本では最も高いタワーを建てたんだ。まぁ、老朽化が進んで取り壊されてしまったんだがな。
俺は東京タワーが好きだったんだ。職人さん達が力を出し合って、今使われているような優れたシステムなどは使えない時代に、個々が持つ技術を使ってあんなすごいものをつくりあげたんだからな。
だから俺はこの場所をプロポーズの舞台に選んだんだ。お母さんには「もっといい場所があるだろうに」って笑われたんだけどな!
和也、俺はな、確かに今の世界で使われている技術は便利で凄いものだらけだが、結局は人がこの世界を動かしていかなきゃならないと思ってる。
それに「感情」を込めて作り上げられたものには、「魂」がこもるんだ。だから父さんは和哉に、感情を大事にして様々な事に挑戦して欲しいと思っている。
和也には、東京タワーみたいに、皮だけじゃ無く中身の素晴らしさを体感させられるような人になって欲しいんだ。
もうこんな時間か。そろそろ帰ろうか。家でお母さんが夜ご飯を準備して待っているだろうからな。
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