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第二十一話:湯煙の誓いと、素顔の混浴
「ちょっとタカシくん! どこ見てるのよバカ!!」
湯煙が立ち込める混浴大浴場。
木枠の湯船に肩まで浸かった瞬間、白銀美咲の悲鳴に近い声が響いた。
白銀さんは胸元を隠すように固くタオルを巻き、真っ赤な顔で湯船の端に身を縮めている。その隣では、黒羽朱音が「えへへ〜」と嬉しそうに湯船で足をパシャパシャとさせていた。
「いいじゃん美咲ぁ。せっかくの混浴なんだし、タカシと一緒にお風呂入れるなんて最高でしょ!」
「そういう問題じゃないでしょう!? 放送コード的にも、私の乙女のプライド的にも……っ!」
白銀さんは眼鏡に蒸気を曇らせながら、俺から必死に視線を逸らしている。
だが、生徒会長は余裕の笑みを浮かべ、ゆったりと湯船の縁に腰掛けた。
「ふふ、騒がしいわね。サキュバスたるもの、男の一人や二人、温泉で魅了して見せるくらいでなくては。……と言いたいところだけれど」
生徒会長はふっと表情を柔らかくし、俺へと視線を向けた。
「この湯煙の中じゃ、魅了の香気も薄れてしまうわね。……皮肉なことに、今の私たちはただの『素顔の女の子』と変わらないわ」
「会長……」
湯船の熱のせいだけではない。
彼女たちの頬を赤く染めているのは、サキュバスとしての本能ではなく、一人の男を前にした純粋な恥ずかしさと胸の高鳴りだった。
その時、朱音が胸元のポケットから防水ケースに入った紫色に輝く「10分間試薬」を取り出した。
「ねえタカシ。ここで薬を飲んだらさ……本当にただの人間として、タカシと混浴できるんだよね?」
「朱音、お前……」
「サキュバスの力なんか要らない。魅了も要らない。……ただの『黒羽朱音』として、タカシの隣に居たいの」
朱音の真剣な眼差しに、白銀さんも息を呑み、静かに頷いた。
「……そうね。私も……タカシくんの前で、サキュバスの仮面を被り続けるのは、もう嫌……」
白銀さんもまた、自分の試薬を取り出す。
サキュバスたちの誇りでもあった魔力を自ら捨て、一人の女の子として俺と向き合う覚悟。
湯煙が舞う幻想的な空間で、彼女たちの本気の恋心が、静かに、そして熱く最高潮に達しようとしていた。
「……二人とも。薬を飲むなら……俺も覚悟を決める」
俺がそう告げた瞬間、湯船に広がる波紋とともに、彼女たちの新たな姿——「完全な人間」としての10分間が始まろうとしていた。
青い子
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はおと/因幡てゐを愛す者
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コメント
1件
ああもう、湯煙の中の告白シーンに胸がギュッてなった……! 朱音が「ただの自分として隣にいたい」って言ったところ、ほんと刺さったよ。サキュバスの力を捨ててまで向き合いたいって覚悟が、湯気に溶けて伝わってきた。 会長の「素顔の女の子」って台詞もすごく好き。タカシも「覚悟を決める」って…次が待ちきれない!🥀