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1 - シェアハウス 第1話 -入居-

♥

114

2022年01月16日

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「はじめまして!これからよろしくね!」


初めて入ったリビングには大きな水槽が置いてあり、赤い金魚が20匹近く泳いでいた。


「よ、よろしくお願いします」


「やだぁ。そんなに改まった挨拶なんていらないいらない!」


よかった、ここに暮らしている人たちみんないい人そう。


「じゃ、これからよろしくね!このシェアハウスで6人目になるリナちゃん!」


「うん!よろしくね!」



*****



大学生になって学校近くのシェアハウスを借りた。


ここには同じ大学に通う5人の女の子たちが暮らしている。


アリス。


ミサト。


サトコ。


タマミ。


ナズナ。


みんな気さくでいい子ばかり。


「あ、砂糖なくなっちゃったぁ」


共同キッチンでパンケーキを作っていたアリスがミサトの砂糖を手にとり、ボールに入れる。


「それ、勝手に使っていいの?」


「何言ってるの?ここはシェアハウスだよ?なんでもみんなでシェアしなきゃ!ほら、できたよぉ!」


できあがったパンケーキはとても甘くて、美味しかった。



*****



「あれ?私ドライヤーどこにやったっけ?」


昨日使ってテーブルの上に置いていたはずのドライヤーが見当たらない。


「ふふふっ、リナ、ドライヤー返すね」


ミサトが部屋の外からドライヤーを手渡してくる。


「え、あ、うん…」


ミサト、勝手に私の部屋に入ってドライヤーを取って行ったってことだよね?


どうしてひとこと言ってくれないんだろう。



*****



数日後。


今度は部屋の本棚から参考書がなくなっていた。


リナは慌ててリビングへと向かう。


「ねぇみんな、私の参考書知らない?」


「あぁ、参考書ならここよ」


ナズナが読んでいた本を見せてくる。


「どうして私の参考書をナズナが読んでるの?」


「ちょっと借りただけでしょう?どうして怒っているの?」


「どうしてって…」


「まぁまぁ2人とも喧嘩しないで。ここはシェアハウスなんだから助け合うのは当たり前よね?」


サトコが間に割って入る。


「それは、そうかもしれないけど…」


でも勝手に使うのはどうかと思う。


この間のドライヤーのこともあるし。


「私は勝手に自分の部屋に入られることが嫌なの」


思い切って言ってみると一瞬沈黙が降りてきて、そして私以外の全員が笑い始めた。


「あははっ!リナって面白いこと言うねぇ」


「本当ね。相手の部屋に入らなかったら、シェアできないじゃないの」


「ふふふっ。でも、リナみたいな子がいても楽しいかもね」


笑って取り合ってくれない5人にリナは参考書をひったくるようにして取り戻し、自室へと逃げ込んだのだった。



*****



数日後、アルバイトですっかり帰るのが遅くなってしまった。


シェアハウスの電気は消えていて、みんな寝静まっている。


「起こさないようにしないと」


音を立てないように玄関を開けたとき、リビングに電気がついた。


あ、まだ誰か起きてたんだ。


あれはサトコ?


サトコはソファに置いてあるバッグを手に持ち、中から財布を抜き出した。


え、あれってタマミのカバンじゃなかったっけ?


サトコは財布の中から一万円札を抜き出してポケットに入れると、そのままリビングを出ていったのだった。



*****



翌日。


「ねぇタマミ」


「リナ。深刻そうな顔してどうしたの?」


「あのね、昨日の夜偶然見ちゃったんだけど…」


おずおずと話し始めるリナに、タマミは終始笑顔だった。


「なぁんだそんなこと?」


「え?」


「ここはシェアハウスなんだからそんなの当然でしょう?」


「なにそれ、どういうこと?」


「だーかーらー!ここではどんなものでもみんなとシェアするってこと!」


バンバンとリナの肩を叩いて説明する。


「リナってば深刻な顔してるからどうしたのかと思って、心配しちゃったじゃん!」


笑いながらタマミは行ってしまった。


リナは呆然とその姿を見送ったのだった。



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コメント

6

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わぉ

ユーザー

罪人だぁ

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