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#読み切り
冬の夕方。寒さは電車の中にも伝わってきていた。あたし、白銀怜は、発明品の展示会であたしの大発明、アンドロイドの『REI-00』通称「零」展示をして、一緒に帰宅しているとこだった。
「零!お疲れ様!」
「はい、怜もお疲れ様でした。家に帰ったら、ゆっくり休んでくださいませ。」
「あはは、相変わらず零は冷静だな〜」
「…お褒めいただき光栄です。」
「もうちょっと感情出してもいいのよ?想像は未来を創造する!」と付け加える。
「了解致しました、精進します。」
「あはは、まだ難しいか〜」
電車の中を見渡す。そこには、疲れた大人達がいた。とっても隈が濃い人、疲れた顔の人、死んだ目の人。あんまりなりたくない姿だけれど、私はもう17歳。ふと窓に映った自分の顔を見る。大人びているその顔を見て、(ああ、来年には、大人になるんだ、)なんてことを思い、零に聞いてしまった。
「ねぇ、大人って、何?」
「責任が子供より多く課せられ、自由な時間が減少することですかね。」
聞いて損した。もっと「大丈夫ですか?」とか、「きっと大丈夫ですよ!」とか、言ってくれれば良かったのに。その答えは、あまりに現実的で、合理的で。私のキズを抉るだけの、皮肉にも、「アンドロイドらしい答え」だった。自分で作ったロボットのくせに、そのロボットを責めるなんて、今日の私、どうかしてるかも。
「あはは、そっか、そっか…あんまりなりたくないな!じゃあこの話は終わり!」
「はい。」
なんだか一段と空気が冷えたような気がした。寒ければ目は覚めるはずなのに、なんだか眠くなってきて。零に伝える。
「眠くなってきちゃた!最寄り駅まで寝てるね!」
「了解致しました、最寄り駅付近になったら、起こします。」
そんな返事を耳にしながら。あたしはさっきの話が脳裏にチラついて、(ああ、大人になりたくない、、、)思わずそんなことを思いながら、眠りについた。
💭💤🌈🫧🐟🚃💭
『ツギハァはなびやま〜はなびやまデェスゥゥ??つはてせてつまつにてつに7585758548586ねはにぬひやてひみ????』
え、はなびやま??どこ、それ!?そんなことを思い、私は目を覚ました。最寄り駅で零が降ろしてくれるはずじゃ!?てか零寝てるし!?
「零?零ってば!おーきーて!」
「ん、怜?すみません、どこかで私も寝てしまったのかも知れません…」
「もー零ってば!しっかりしてよねー…というかここどこ?すっごく綺麗!」
「異常空間です。危険かも知れません。…圏外ですね、通信不能の場所のようです。」
「そっか〜、どうしよーか、ちょっと探索してみよっか!」
「そうですね。まずは情報を得て、それからこれからの行動を決めましょうか。」
「だね!よーし!キラキラ電車脱出大作戦しちゃおう〜!」
そんなことを言い、あたし達は、『キラキラ電車脱出大作戦』を決行したのだった。
💭💤🌈🫧🐟🚃💭
「いやっ!どうすればいいのー!!!?」
「私も一通り散策してきましたが…情報が少なすぎますね、これでは解決策も練ることができません…。」
数十分経ったかな。私たちは別々に行動して、二人がかりで周りを散策してみても、脱出の鍵となりそうな物は見つからなかった。
散策の途中、何駅か止まったりしたけど、ドアは開かないまま、また進み出すと言ったところだった。
確かあいすみやとかげろうざきという、おかしな駅名だったっけ。
まぁ、ひとつだけこっそりある人に教えてもらった見つかったこの場所のルールだけど−−−零には言わないでおこう。
『ツギハァ、ふうりんだに〜ふうりんだにデスゥゥ??すふぬすぺれゆちくぺれみしす549614866489ふゆぬてゆる????』
このノイズ混じりのアナウンスも4回目。耳が慣れるのが、少しだけ怖くて、一刻もこの場所から抜け出したいのに…
…なんだか抜け出したくもない、、、?よくわかんない気持ちになるな、そんな謎の気持ちに揺れれいたら、風鈴の音が聞こえてきた。
リーン リーン リーン 『やっぱりこどもにもどらない?』リーン リーン リーン
「…え??」
リーン リーン リーン 『こんどこそさ、ちゃんとしょうがっこういこうよ、つぎはうまくやれるよ』 リーン リーン
(なんで…昔のあたしの声がするの??)
(いやだ、あんな場所、行きたくない)
リーン リーン リーン 『きっといいことであえるよ!大丈夫、しゃぼんだまをわればいいの、そうすれば、ちゃんとうまくいくよ』 リーン リーン リーン
(本当に?)
リーン リーン リーン リーン リーン リーン
(割ろうかな)
リーン リーン リーン リーン リーン リーン
(いいや、小学校でうまくいくなら…)
そう思って、シャボン玉に手を触れそうになった時…
「やめてください!どうしたんですか怜!?」
「え…あっ、零、ごめん、なんか触りたくなっちゃって。」
「ふぅ、ひとまず正気に戻って良かったです。」
「心配かけたね!ごめん。ありがとう、零がいてくれて助かった!」
良かった。このままシャボン玉を割ってたら…大変なことになってたかもしれないな。それに零をちゃんとお家に返さなきゃ。しっかりしてあたし。
「…そんなことありません///」
「え、照れてる?珍しいね〜なんかちょっと嬉しい!」
零が照れるなんて、滅多にないから、思わず笑みが溢れる。
『ツギハァ、シュウテン、みらいにっき〜みらいにっきデスゥゥ??けゆせちけにねにつせ26586289625ひゆぬすぺるばしへれむすしむへつ????』
ああ、来ちゃった。終点が。
『オオリノオキャクサマハァ、イチメイカギリデスゥ、オキオツケテオオリクダサイィィ??そひつてひつけなしひ546456756すみにつちひくち????』
ここでもう零とは、お別れだ。
💭💤🌈🫧🐟🚃💭
「今なんて?一人しか降りれないなんて聞いてな」トンッ
零を駅のホームに降りるように、押し倒す。
もうあっち側には透明な壁のようなものに阻まれていて、行けなくなっていた。
「零、困らせてごめん。そんなこと聞いてなかったもんね。」
「ダメです!貴方が降りるべきなのですよ!?」
「いいの、もういいの。零が助かれば、それで。」
それは紛れもない本心だった。零が助かって欲しかった。たとえ自分の命が犠牲になってしまっても。
「何処からそんなこと聞いたのですか!」
「二人別々に行動してたときに、茶髪で薄紫のお目目男の子が教えてくれたんだよ。」
そう。別々に行動してた時に、突然、男の子に声をかけられた。それで教えてくれたのだ。
「じゃあなんで教えてくれなかったのですか…。」
「…あたしね、夢があるんだ。」
「そんなこと今は話してる場合じゃないんです!」
「零がいっぱい想像して、いろんなことを感じてくれること!」
ごめんね、わがままな科学者で。
「零、あたしの最期のお願い、聞いてくれない?」
「…分かったよ。分かったッ。」
二人で一緒に脱出する方法が思いつかないような馬鹿な科学者でごめんなさい。
「合言葉、覚えてる?」
「もちろん。知ってる」
「せーのっ」
「「想像は未来を創造する!!」」
「オッケー。バッチリだ。」
ドアが閉まっていく。閉まってしまう。
「怜ッ!!!」
「君は…」
「零は友達。」
あたしのたった一人の、大切な友達。
「いやだ!行かないでくださいッ!」
「ありがと。ばいばい、零。」
「だぁいすき。」
君が感情を知る日が、訪れますように。
💭💤🌈🫧🐟🚃💭
「アンナガラクタロボットヲォ、ゲンジツニ返シタノォォ?」
電車が動き出した直後、そう声をかけられた。
最初に目についたのは、大きな一輪の向日葵。目のところに咲いている様子は、ソレが人ではないことを物語っていた。
「零はガラクタじゃないですよ。あたしのたった一人のお友達です。」
「フーンソッカァ、ジャアドウスンノォ?キミハァァ」
「もういいです。諦めて、あなたに消してもらいます。きっとまたふうりんだにで惑わされてしまうから。」
「良イノォ?、モウ一回頑張ッテ一周スレバァ、モドレルヨォォ?」
「…大丈夫です。あたしは、ふうりんだにで惑わされて終わるより、零を、自分の最高傑作のロボットであり友達を、自分の命と引き換えに助けた科学者として綺麗に消えたいから…!」
それが望みだった。できれば科学者としても、白銀怜と言う一人の人間としても。
「フゥン、面白イコト言ウネェ、ジャア分カッタァ、キミノ望みィ、叶エテアゲルゥゥ♪」
「あはは…もうここで終わりなんですね。あたし。…最期に、あなたの名前、なんですか。」
家族には、ありがとうって言えなかったなぁ。最期によくわかんないヒトだし。名前だけでも聞いておこうと思った。
「ワタシィ?ワタシハネェェ−−−」
名前を発したその瞬間と共に、シャボン玉が全て割れた。
「拙イコノ鉄道ノシャショー。オヤスミィ、れいチャン。」
なんだシャショーさんだったんだなぁ。
ああ、零とお花見とかいきたかった。
もっと沢山、色んなところいきたかった。
もうきえるのかぁ。すくないじんせいだったなぁ。
…ばいばい。あたし。
−終−
こんにちは。西瓜です。2話、どうだったでしょうか?主人公は2人に増えて、衝撃のラストに驚いた方もいるのではないでしょうか?
今回は1話よりもだいぶボリューミーなお話でしたね。
読後に残る切なさに重しに置いているので、切なさを感じて下されば幸いです。
今回もQ &Aしますね。
Q.最後になんで怜ちゃんは消えたの?
A.シャボン玉を全て割ると、対象の人は存在ごと消えてしまいます。
今回疑問にか思うことはそれぐらいでしょうかね。何かあったらコメント欄で教えてください。
最後に怜の立ち絵設定資料を載せて終わります。じゃあ。
コメント
2件
ありがとうございます!過去編もお楽しみに、、、💖
とても好!!!! ストーリー展開が大好きです🫶