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「莫大な卵・・・・・ 」
そこからなぜかキラリも
この部屋の掃除を手伝い
しばらく二人は黙々と清掃作業に精を出しました
この部屋がおばちゃんの
ガチョウだと聞いたあとは
キラリの中でに不思議と愛着が湧き
気がつくとフスマの張替え
台所を磨き粉で磨き上げるなどと
次々と作業をこなしていました
そしておばちゃんはなんと予め
置いてあった小窓のサッシや換気扇などを
起用に新品に付け替え
数時間後には傷んでいた部屋が
まるで新築のように見違えました
ここなら多くの学生さんが住みたいと思うでしょう
キラリは達成感に満ちていました
「・・・・ここの家賃っていくらするの？ 」
「大変良い質問ですな
一部屋５万円です
一階・二階あわせて８部屋で
共益費は別にして単純な質問をしましょう
さぁ一ヶ月私に入ってくる
お金さんはいくらになります？ 」
おばちゃんはキラリを試すように
ニコニコして言いました
簡単な計算でもキラリはドキドキして
頭が回りません
でも必死で考えました
「えっと・・・・一ヶ月４０万・・・・」
「では年間では？ 」
「４８０万！！！ 」
「計算が早いのは良いことですな
しかし賃貸・アパート経営では
大切な採算性というものを考えなければなりません」
「採算性・・・・ 」
キラリはワクワクしていました
何もしなくても人に部屋を貸すだけで
年間５００万近くも入ってくるんです
これはすごいことです
「戦前は貸家というものが
どこにでもあったと思いますが
最近はほとんど見かけませんな
これは独立した一軒家を
たった一世帯に貸していたのでは
とてもじゃないけど採算が合わへんのです
ですから土地を購入して収益を上げるためには
ある程度そこを分割して複数の世帯に貸す
つまりアパートやマンションの
共同住宅経営が一番ですな
そして土地に建物や設備といった付
加価値をほどこすことにより
いかに収益性をあげるかということが
ガチョウに沢山黄金の卵を産ませれることなんです 」
ニヤリとおばちゃんが笑う
「もちろん何ヶ月も空き部屋を作るなんて
もってのほかですわ 」
「何もしなくても・・・・
沢山お金が入ってくるんじゃないんだね 」
キラリはちょっぴりガッカリしました
おばちゃんはクスクス笑って言いました
「ところで喉乾きましたなぁ
この部屋の前に自動販売機がありましたやろ
ちょっとジュース取ってきなはれ 」
チャリンと大きな鍵を渡されました
この時おばちゃんはキラリに
少しひっかかる言い方をしました
「・・・・買ってくるんじゃなくて？ 」
「その鍵を開けて
飲みたいものを取ってくるんですわ 」
キラリはアドレナリンが放出されているのが
わかりました
「まさか！
このアパートの前の自動販売機も？ 」
おばちゃんは明らかにキラリの反応を
楽しんでいるかのように答えました
「ハイ！わてのガチョウですな 」
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