自動販売機からお金を払わずにジュースが飲めるなんて
初めての経験でした
キラリはドキドキしながらも鍵を開け
初めて自動販売機の中身を見ました
訳の分からない機会がずらりと並び
何となくキラリは箱の中にプールみたいなのがあって
その水でジュースを冷やしていると思っていたので
驚きました
連なっている機械のレーンの
一番下から手を突っ込み
ジュースを二つ取り出しました
この自販機もおばちゃんの
ガチョウだったなんて・・・・
その時キラリはハッとしました
アパートの前は車が20台ほど駐車できる
コインパーキングでした
今は車が停まっている後ろで
ライトがチカチカ点灯しています
バタンッ
「お・・・おばちゃん!
もしかして・・・前のコインパーキングも
おばちゃんのガチョウなの?」
おばちゃんはニッコリして言いました
「頭の良い子は好きですな」
キラリはすっかり興奮していました
学校の授業なんかより
よっぽどおばちゃんの
教えの方がエキサイティングでした
今になってよく考えたら
普通中2の女の子が資産運営の話なんて
興味なんかあるはずもありません
初めてあった時からこのおばちゃんはどこか
普通の友達のおばちゃんと違うと思っていましたが
その変わっているおばちゃんの話が大好きだった
キラリもまた・・・・
変わっていたのだと
大人になって理解するのですが
キラリはすっかり
このおばちゃんの魅力にとりつかれていました
「自動販売機経営って・・・・儲かるの? 」
「それは
難しい質問ですな
儲かるとも言えないし 儲からないとも言えません
物事を人に話す時には
バカでも分かるように話すのが
私のモットーですけど・・・
特にお前さんのように学校の成績はともかく
人間としての基本的な知性がある子にはね
やり方次第・・・・
とでも答えときましょか
まぁ それは何にでも言えることですけど 」
キラリはわけがわからなくなっていました
そして
ほめられているのかどうかもわかりません
でも
おばちゃんの所有するこの白いアパートの何もない空き部屋で
おばちゃんと差し向かいでジュースを飲んでいることは
陽子も知らなくて・・・・
おばちゃんと共有している秘密のようでワクワクしていました
おばちゃんはさらに続けます
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