〜照の家にて〜
「おじゃましまーす」
「どーぞ」
照はソファに腰を下ろしながら、俺の手を引いた。
「お前、今日絶対緊張してただろ?」
「そりゃ、するだろ……照だって手、ちょっと震えてたくせに」
俺に言い返されて、照は少しムッとしたように俺の腰を引き寄せる。
「……俺の前では、力抜いていいんだぞ」
「……わかってるよ」
ため息混じりに言いながらも、照の肩にもたれかかった。
照の手が、そのまま俺の髪をゆっくり撫でる。
「なんか、こうやって二人でいるの、久しぶりな気がする」
「そうだな……最近は気を張ることばっかだったし」
照の体が離れ、肩が触れ合う距離で小さく笑った。
その仕草に、胸が少し苦しくなった。
「これからどうする? もっとバレないように気をつける?」
「そうだな。でも……こうやって二人でいる時間は減らしたくない」
静かな空気が流れる。
やがて、照がゆっくりと手を伸ばし、俺の指をそっと絡め取った。
「ずっとこうしてたい……けど、そうもいかねぇんだよな」
「……うん。でも、今だけは」
声がかすれる。
照の温もりが指先から伝わり、そのまま背中へと回される。
「……お前、ほんと意地悪だな」
照は囁くように言いながら、俺を抱きしめた。
ゆっくりと、決して離さないように。
静寂の夜に、二人の鼓動だけが重なり合っていた。
耳元で、照との低い声が囁く。
「……どんなに隠してても、俺の気持ちは変わらない」
その言葉に、胸が強く締めつけられる。
「俺も……同じ」
目を閉じると、唇が触れ合う距離まで近づく。
触れそうで触れない、焦れったい空気が二人の間に流れる。
「……ひかる」
たまらず名前を呼ぶと、照は優しく微笑んだ。
そして、そっと俺の頬を包み込み、ゆっくりと距離を縮めた。
「……お前が隣にいるなら、それでいい」
想いを伝え合いながら、二人はそっと唇を重ねた。
お互いの温度を確かめ合うように
その夜、二人の関係は、より深く確かなものになっていった。
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