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#闇バイト
るしゅ
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土橋真二郎
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応募ボタンを押してから三秒後。
スマホが震えた。
「はやっ」
思わず声が出た。
いや、早すぎるだろ。
コンビニのバイトですら採用連絡に数日かかるのに。
俺は嫌な予感を覚えながら通知を開いた。
【ご応募ありがとうございます】
丁寧な文章だった。
でも送信者名はない。
アイコンもない。
プロフィールもない。
真っ黒。
なんか怖い。
いや、かなり怖い。
【採用が決定しました】
「採用?」
思わず笑った。
履歴書も送ってない。
面接もしてない。
俺の何を見て採用したんだよ。
残高143円か?
それなら確かに即採用だろうけど。
【本人確認をお願いします】
続けて送られてきたメッセージを見て眉をひそめる。
免許証の写真を送れと書いてあった。
「身分証不要じゃなかったのかよ」
広告にはそう書いてあったはずだ。
少し迷う。
かなり迷う。
正直、ここでやめようかと思った。
でも。
残高143円。
その数字が頭から離れない。
俺は免許証を撮影した。
送信ボタンを押す。
数秒後。
【確認完了】
返信が来た。
本当に人間が見てるのか?
それとも自動なのか?
分からない。
そのまま次のメッセージが届く。
【第一案件】
俺は思わず背筋を伸ばした。
なんだよ案件って。
ゲームじゃないんだから。
送られてきた内容は簡単だった。
駅のコインロッカー。
指定された荷物を回収。
別の場所へ届ける。
それだけ。
そして最後に書かれていた金額。
【報酬10万円】
俺は画面を二度見した。
いやいや。
やっぱりおかしい。
荷物を運ぶだけで10万円?
意味が分からない。
世の中には炎天下で何時間も働いて日給1万円の人だっている。
なのに。
荷物を運ぶだけで10万円。
そんな仕事あるか?
普通に考えれば答えは一つだった。
ない。
絶対にない。
なのに。
俺はスマホを閉じることができなかった。
その時。
通知が届く。
母さんからだった。
『今日は少し調子が良かったよ』
短いメッセージ。
その後ろに笑顔のスタンプ。
俺はしばらく画面を見つめた。
そして返信する。
『よかった』
たったそれだけ。
本当は色々書きたかった。
ごめんとか。
心配かけてごめんとか。
もう少し待っててとか。
でも書けなかった。
書いたところで現実は変わらない。
俺は再び10万円の文字を見る。
10万円。
その金があれば。
少しだけ楽になる。
本当に少しだけ。
だけど今の俺には十分だった。
スマホが震える。
また例のアカウントからだった。
【遅刻厳禁】
その下には短い文章。
【無断欠勤は認めません】
たったそれだけ。
なのに妙に圧があった。
俺は画面を見つめる。
しばらく見つめる。
そして小さく笑った。
「まだ働いてもないんだけどな」
そう呟いてスマホを置いた。
だけど。
なぜだろう。
胸の奥に、小さな棘が刺さったような違和感だけが残っていた。
(第三話へ続く)
コメント
1件
るしゅさんの新作読ませてもらったよ…🤍 「身分証不要」って書いてあったのに免許証送らせるの、やっぱ怪しいよね…でも10万円に惹かれる主人公の気持ちも分かる。お母さんの「退院」のLINE、あれが決断させたんだろうな。 最後の『遅刻厳禁』『無断欠勤は認めません』の圧、ゾッとした…これ絶対普通のバイトじゃないやつだ。 続きすごく気になる…!