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#闇バイト
るしゅ
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土橋真二郎
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コメント
1件
うわ、完全にハマるやつだこれ……! 10万円で人生が変わるって描写が生々しくて、主人公の「マジかよ」って呟きにめちゃくちゃ共感しちゃいました。次の30万円の案件、絶対断れないですよね。伏線っぽい「ただの荷物運び」感が逆に不気味で、続きが気になりすぎます!
翌日。
俺は指定された駅にいた。
正直、まだ迷っていた。
改札を出て。
引き返して。
また改札を出て。
我ながら情けない。
「何やってんだよ……」
誰に言うでもなく呟く。
だって怪しいだろ。
どう考えても。
荷物を運ぶだけで十万円。
そんな仕事がまともなわけがない。
でも。
口座残高143円。
その現実も消えてくれない。
結局、俺は指定されたコインロッカーの前に立っていた。
スマホを確認する。
送られてきた暗証番号を入力。
ガチャ。
ロッカーが開く。
中には黒いスポーツバッグが入っていた。
「軽っ……」
思わず声が漏れる。
もっと重いと思っていた。
ドラマみたいに札束でも入ってるのかと。
いや、そんなわけないか。
俺はバッグを持ち上げる。
周囲を見回す。
誰も見ていない。
警察もいない。
監視カメラはあるけど、駅だから当たり前だ。
なんだろう。
拍子抜けした。
もっとヤバい雰囲気を想像していた。
実際は普通だった。
普通すぎるくらい。
俺は指定された場所へ向かった。
雑居ビルの三階。
少し古い建物だった。
エレベーターはない。
階段を上る。
三〇五号室。
その部屋の前で足を止めた。
スマホを見る。
指示はこうだ。
【荷物を置いて立ち去れ】
それだけ。
俺はバッグを床に置いた。
ピンポンも押さない。
ノックもしない。
置くだけ。
なんだよそれ。
宅配業者の方がよっぽど仕事してるぞ。
少し笑ってしまった。
そのまま階段へ向かう。
すると。
スマホが震えた。
【案件完了】
短いメッセージだった。
俺は眉をひそめる。
「見てたのか?」
なんとなく気味が悪かった。
でも、それだけだった。
何も起きない。
誰も追ってこない。
事件も起きない。
警察も来ない。
普通だ。
ただ荷物を運んだだけ。
本当にそれだけだった。
帰り道。
俺はコンビニの前で立ち止まった。
腹が減っていた。
昨日からまともに食べていない。
だけど財布の中身を思い出す。
千円札一枚。
できれば使いたくない。
俺はそのまま通り過ぎた。
家に帰る。
靴を脱ぐ。
その時だった。
スマホが震える。
通知。
銀行アプリ。
俺は何気なく開いた。
そして固まる。
残高。
100,143円
意味が分からなかった。
何度も見直す。
閉じる。
開く。
閉じる。
開く。
やっぱり同じ数字だった。
十万円。
本当に振り込まれている。
「……マジか」
膝の力が抜けた。
床に座り込む。
心臓がうるさい。
こんな金額を一度に見たのはいつ以来だろう。
家賃が払える。
電気も止まらない。
母さんの見舞いにも行ける。
頭の中で色んなことが浮かんでは消えた。
その日の夜。
俺は弁当を買った。
少し高いやつ。
半額シールなんて貼られていないやつ。
レジに持っていく時。
変な気分だった。
たった十万円。
でも。
たった十万円で世界が少し明るく見えた。
部屋に戻る。
弁当を食べる。
温かかった。
それだけで泣きそうになった。
スマホが震える。
例のアカウントだった。
俺は箸を止める。
メッセージを開く。
【お疲れ様でした】
その下に続く文章。
【第二案件をご案内します】
さらにその下。
表示された数字を見て。
俺は息を呑んだ。
【報酬 300,000円】
十万円でも十分おかしかった。
なのに。
今度は三十万円。
俺の視線はその数字から離れなかった。
離せなかった。
(第四話へ続く)