テラーノベル
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次に目を覚ましたのは、深夜だった。
窓の外の街の灯りだけが、ぼんやりカーテン越しに入ってくる。
涼ちゃんはゆっくり目を開けた。
「……ん」
体を少し動かす。
毛布がかかっていることに気づく。
(……あれ)
ぼんやり天井を見て、
それからゆっくり体を起こす。
さっきまでいたはずの――
若井がいない。
部屋は静かだった。
玄関の方を少し見る。
靴もない。
(……帰ったんだ)
ぼんやり思う。
涼ちゃんはゆっくり立ち上がって、
少しふらつきながらキッチンの方へ歩く。
テーブルの上に、
冷めてしまったお粥が置いてあった。
ラップがきちんとかけられている。
その横に視線を動かす。
冷蔵庫を開ける。
中には――
きっちり入れられた弁当。
コンビニの袋から出して、
ちゃんとしまってある。
涼ちゃんは少しだけ目を瞬かせる。
(……若井)
またテーブルを見る。
そこには、
風邪薬が置いてあった。
箱から出されて、
コップと一緒に並べてある。
涼ちゃんはしばらくそのまま立っていた。
静かな部屋。
若井はもういない。
でも。
部屋のあちこちに、
さっきまで若井がいた痕跡が残っていた。
涼ちゃんはお粥を少し見て、
それから小さく息を吐く。
「……」
なんだか、
胸の奥が少しだけ 温かくなった。