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ちいさな手の、まほうの道

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ちいさな手の、まほうの道

31 - また、あしたも──終章

2025年08月24日

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星のおまつりが終わってから、村は少し静かになった。でも、広場に飾られた布や鈴はそのままで、

風が吹くたびに、あの日の音や笑顔を思い出させてくれた。


わたしはお兄ちゃんと手をつないで、

ゆっくり森の入り口まで散歩した。

お兄ちゃんの歩みはまだ少し弱いけれど、

顔には前よりもずっとはっきりした笑顔があった。


「ミナのおかげだよ」

お兄ちゃんがそう言って笑ったとき、

わたしはあわてて首をふった。


「ちがうよ。わたしはちいさなことしかしてないの。

 花を持ってきたり、卵を守ったり、手紙を書いたり…」


するとお兄ちゃんは、立ち止まってわたしの手をぎゅっと握った。

「それが一番大事なんだよ。

 小さなことでも、だれかを想ってやったことは、

 本当に大きな魔法になるんだ」


その言葉を聞いたとき、胸がじんわりして、

女王さまの声を思い出した。

──「あなたはもう魔法を持っているのですよ」


わたしは空を見上げた。

そこにはいくつもの星がきらきらしていて、

まるで女王さまが「よくやったね」とほほえんでくれているみたいだった。


「また、あしたも」

わたしは小さくつぶやいた。

あしたも、あさっても、そのまた次の日も。

小さな手でできることを探して、

大切な人と笑顔をつないでいこう。




──こうしてミナの小さな手は、優しさと幸せをつなぐ、本当の魔法になったのです。

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