時が経て、昼食時間になった。私は食堂に行くとやっかいなことになりそうだからと席に座っていた。その後ろでパーソンは焦った表情を浮かべていた。
「ご、ごめんなさい。まさか、こんなことになるとは思わなくてっ…。」
パーソンの目に光が多くなる。
「パーソン様のせいじゃないわ。絶対。これはあの三人組のせいよ。」
私はいつもより少し低い声で言った。とにかく怒りが止まらなかった。
「なんで、あんなつまらないことをするのでしょうね。私にいやがらせをしてお金や宝石が増えるわけじゃないでしょうに…。」
私は深くため息をつきながら曇り空をみて言った。
「楽しいんですよ。きっと。」
パーソンがぼそっと言った。私はパーソンの方に顔を向ける。
「きっと、お金などではないんです。本当に、ただただ楽しいという理由でやっておらっしゃるんですよ。あの方たちは。」
パーソンがぎゅっと拳を握る。パーソンは真剣な表情で言った。
「ジョン先生に相談しましょう!」
「えっ?」
「ジョン先生に相談したら、きっと!…きっと…。」
パーソンは少し俯き加減で言った。放課後、みんなが帰る中、私とパーソンは教卓の前にいるジョン先生にこのことを詳しく話した。
「あら、そんなことが起きていたのですね。」
「はい。」
「どうにかしていただけませんか?」
「わかりました。明日の朝、ホームルームの時間に注意を行いましょう。」
先生の言葉にパーソンはほんの少し不満げな表情を浮かばせる。だが、すぐに笑顔を作った。私は「ありがとうございます。」とだけ言って、パーソンと一緒に教室を出た。
「きっと、変わっていくはずです。そう、信じましょう。」
私は前を見て、力強く言った。
「…はい。」
パーソンは少し遅れて返事をした。帰り道、私は一人で歩いていた。いつもの道を、 ローファーの音を奏でながら。そのローファーの音を止め、私はその場で立ち止まった。
(だめ。泣いてはだめ。泣くな。)
私はその場で目を擦り、涙をごまかした。数分後、家に着くと、そこにはメイドのスワンが立って待機していた。
「マリー様、お帰りなさいませ。デザートの準備ができています。」
「ありがとうございます。」
私はそういって食卓につく。するとそこには、艶めき輝くプリンがお皿にちょこんと座っていた。
「いただきます。」
さっそく一口頬張ると、舌の上でプリンがツルツルと舌を磨いていく。なめらかな舌触りが気持ちいい。卵のほのかな味が濁った心を清らかにしてくれる。カラメルは喉を潤してくれる。
「…美味しいです。」
「よかったですっ!」
スワンは嬉しそうに言った。
ー続くー
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