【フロイドside】
ジェイドがクマノミちゃんと一緒に後始末をするって言った。
俺はボロボロになったアズールを急いで自分の部屋に連れ帰って傷の手当てをする。
「大丈夫かなぁ」
寝ているアズールの頭を撫でながらぽつり弱音が出た。
自分らしくねぇなと思ったけど流石に心配する。
アズールはミドルスクールの頃から影で努力してたから頭は良いけど自分の事は守れないくらい弱い。
だから何時も俺たちが傍にいるんだけどさぁ。
「だからってクマノミちゃんがホホジロザメみたいになるなんて思わないでしょ」
今でもあの光景が目に浮かぶ。
急にクマノミちゃんが走り出して何処かに行っちゃって文句垂れながら2人で探してると遠くから声が聞こえてその場所に行くと。
目に映ったのは血塗れで悪魔みたいな表情で笑いながら泣き叫んで命乞いをしているサバナクロー生達を容赦なく殴り倒している所だった。
その光景を見た俺らはゾッとしてヤバいと思ってジェイドの顔を見て震えながら聞く。
「ねぇジェイド。あれクマノミちゃんだよね?」
「え、えぇ。カオルさんで間違いは…無いはずです」
「じゃあオクタヴィネル寮のヤバイ奴って」
「……きっと彼の事でしょうね」
ジェイドも冷や汗を垂らしながら焦っていた。
だって、さっきまでニコニコ笑いながら楽しく喋ってた奴がそのヤバい奴なんて思いもしないじゃん。
てか本人にその事言って笑いあってたんだから尚更ダラダラと汗が流れる。
するとクマノミちゃんが最後に残ってる奴を殴って叩く。恐怖で有り得ない程に真っ青な顔がこの残業を物語る。
正直き会話は聞こえなかったけど、よく見たらそいつはアズールを呼び出していた奴だった。
更には傍にボロボロになったアズールが居て心の中が混乱のオンパレード状態だった。
「ジェイド!ジェイド!!アズールが…」
「分かってますよ!」
「どうしよう」
「きっとカオルさんが助けてくれますから私達は此処で待機します!いいですねフロイド!」
ギッと鋭い睨みで軽くパニックになっていた俺は冷静になってクマノミちゃんが戻ってくるまで駆け出したい気持ちを抑えながらその場に留まった。
数分するとアズールを呼んだ奴は泡を拭きながら失禁して倒れ、クマノミちゃんが返り血がつかないようにアズールを姫抱っこしてこっちに来た。
構えていても実際に目の前に来ると、どう接していいか分からずジェイドと一緒に挙動不審になっていると真顔でポツリ呟いた。
「…………さっきの見た?」
「「ごめん、すみません」」
「今日の事は僕達の秘密ね」
「「ハイ」」
怯えた目でクマノミちゃんを見つめる。
表情は笑っているはずなのに目が全く笑ってなくて、頭に銃口を突き付けられてるみたいな低い声で告げられて2人して情けなくガタガタ震えた。
けど、ボロボロの姿のアズールとホホジロザメみたいに暴れてたクマノミちゃんも絶対に怪我してる。
心配でチロチロ見ると、それに気づいて張り詰めていた空気が元に戻り、クマノミちゃんは何事も無かったかの様に喋る。
「僕はあの弱小達を壁に吊るしに行かないと行けないからアズールのこと後は任せても良い?」
「いいけどクマノミちゃんは怪我ない?」
「別に無いけ「嘘ですよね?幾ら鬼神のようになぎ倒していても怪我をしてるはずです」
「oh…」
さっき迄ずっと黙り込んでたジェイドが急にクマノミちゃんの言葉を遮って立て続けに言う。
「フロイド。僕はカオルさんが心配ですので一緒に後始末します。アズールの事を頼みますね」
一瞬、目配せをしたからクマノミちゃんと2人で何か喋りたいんだなって分かった。
「わかったー」
そう返事をして、今現在に至る。
ジェイド達が心配だけど1人は暇すぎる。
まだ目覚めないアズールの頬を引っ張ったりして遊ぶと不機嫌そうにパチリ目を覚ました。
「ん”っ……フロイド?」
「あ、目覚めたぁ!」
「…………状況がまったく飲み込めないのですが」
「色々あったからクマノミちゃんとジェイドが帰ってくるまでまだ待ってて」
「…分かりました」
むくり起き上がって溜息を吐きながらジッと不満そうに俺を見る。
例え心を許していても借りを作るのが嫌いなアズールだからしょうが無い。
俺は笑って、次からはクマノミちゃんの事ホホジロザメちゃんって呼ぼうと誓いながら。
「ねぇ〜アズール〜」
「何ですか?」
「おはよっ!」
「ぎゃっ!?」
ガバッと抱き着いてギューっとした。
アズールは情けない声を出してて面白い。
ジェイド今頃ホホジロザメちゃんと何喋ってんだろ?
続く…次回【ジェイドside】です。
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