※こうはや
亘清×泰輝
清いお付き合いふたり、亘清くんに試練です。
『亘清くん!』
『! 泰輝さん…』
『亘清くんも鍛錬終わったの?』
『あ、はい …泰輝さんも?』
『そ!俺は和中の兄貴と剣道だったけど…
亘清くんは空手かな?』
『矢部の兄貴に見てもらいました…惨敗っす』
『あははッ…俺も和中の兄貴にボコボコにされたよ……風船の刀で…』
『あ、あの泰輝さん…っ 俺、今汗臭いのであんまり側に……』
『え? そんなの俺も汗かいてるし…というか、一緒にシャワー行こうよ ほら!』
『あ!ちょ、泰輝さん…ッ』
……俺の名前は、工藤亘清。
只今、恋人に理性を試されている天羽組の構成員だ…。
天羽組の事務所は鍛錬場の側にシャワールームも完備されている。
汗だくで事務所内を彷徨けば……兄貴たちからヤキを入れられると以前飯豊の兄貴が忠告してくれた。
男所帯だからまぁ…匂いとかは気になるだろう。
……水野の奴は、香月の兄貴の汗なら嗅ぎたいとか言ってその直後に本人にヤキを入れられてたっけ。
……汗……か…
『はぁ… とくに今日は汗かいたなぁ…』
『!』
桃色の髪が白い首や額に張り付いている。
いつもは狂人兄貴達に冷や汗をかいてる泰輝さんも健康的な汗を流して……
『……(俺は、泰輝さんの汗なら……って何考えてんだ俺ッッッ/////)』
すると、泰輝さんは豪快に道着を脱ぎ…脱ぎッ⁉︎⁉︎
『だああああ‼︎⁉︎まままってください泰輝さんッ⁉︎//////』
『え⁉︎なになに⁉︎⁉︎』ビクッ
『いき、いきなり脱ッ…////』
『?だって脱がないとシャワー…』
『お、俺先に入りますッッッ』
ポカンとしてる泰輝さんをよそにマッハで脱いだ俺は脱衣所から急いでシャワールームに向かった…。
『……変な亘清くん』
『あ、危なかった…////』
個室シャワールームに駆け込み、扉を閉めて息を吐く。
……何故男同士…ましてや恋人同士恥ずかしがってるか?
確かに、俺は泰輝さんとお付き合いしている…が‼︎
俺達はまだ清いお付き合いである‼︎‼︎
ようやく触れるキスはしているが、まだその…そうゆう事はしてない。
健全な男子が好きな人の裸体に興奮しないわけがないのだ。
艶姿を目にして…何もないことあるはずが無い…かもしれない。
だから少しでも可能性を潰してきたわけだが…
いきなりふたりきりでシャワーは…ッッッ
理性が、もたない!
『亘清くーんっ 大丈夫ー?』
ハッと我に帰ると泰輝さんは隣の個室に入ったようだ。
このシャワールームは完全な個室ではなくあくまで仕切りが設けられているだけで…
顔はギリギリ見れないが足元なら空間が空いている。
『……(脚…)』チラッ
思わず視線を下に向ければ、
隣にはスラッと日に焼けてない細い泰輝さんの御御足が…太物からしたが伸びている。
『(ムダ毛が、ない…細い…きめ細かい肌…白…)』ジーッ
『おーい?』
『だ、大丈夫ですッッ』
『そっかぁ』
沸いた頭を鎮める為に冷水を頭にぶっかけた。
勢いよく出し過ぎたせいで隣にも水が飛んだだろう。
『ひゃッ⁉︎///冷たッ』
『⁉︎⁉︎(ひゃ⁉︎可愛いすぎんだろ反応⁉︎)』
慌ただしくお湯を出したのか隣からは俺の個室とは対照的に湯気がこもる。
『んッ……あったかーい…はぁ…//』
艶っぽい声にドキドキしながら冷水のまま頭を洗い流す。
心頭滅却と、唱えてだ。
そのうちふんふーん♩と可愛らしい鼻歌が響き始めて俺も冷静になってきた。
いくら裸で同じ空間だからといって…少し焦り過ぎただけだ。
後はこのまま乗り切って泰輝さんが出る前に俺が出て着替えてしまえばいい。
(コロンッ)
『…ん?』
足元に転がってきたのは、
なんの変哲もない備え付けの固形石鹸。
しかし、俺の固形石鹸は今使っていて……。
……今、シャワールームは俺達だけで…
隣から、転がってきて……
こうゆうことは良くある。
隣から物が転がってきたり、横着して下のスペースから舎弟同士貸し借りしたり…ふざけて通ってきたり…。
『ごめーんッ 石鹸、そっちに行っちゃた〜』
『⁉︎た、泰輝さんまっ、』
『よいしょッ お邪魔しまーすっ』
屈んできた泰輝さんの上半身が目に飛び込む。
普段、洋服で隠れている傷のない背中に二の腕。
髪は濡れていつもとは違う雰囲気。
鍛えてる筈なのに筋肉が少ない細い腰。
『ごめんね亘清くん…亘清くん?』
こちらを見上げる時にチラッと見えてしまった…
桃色の…胸の飾り……
ガッシャーンッッッ‼︎
『亘清くんッ⁉︎こ、亘清くーんッッッ‼︎』
俺は…思いっきり扉を突き破り背後に倒れた。
『う”……も、桃色……』
『お、気づいたか工藤』
『……小峠の兄貴?…』
気づいたら俺は脱衣所に寝かされていた。
慌てて起き上がると後頭部に鈍い痛み。
触れるとデカいタンコブが。
『おまえ、滑って頭打ったらしいな
速水がさっきまで介抱してたぞ』
『た……速水の兄貴が…?』
な、なんて情けないところを…。
項垂れる俺に小峠の兄貴はなんだかソワソワしていた。
『……おまえ、俺が先に駆けつけて良かったな』
『…へ?それは、どういう意味で…?』
『覚えてないのか?
…いや、まぁ…おまえ目が覚める前くらいからずっと速水に膝枕されててな……生足で』
『………はい⁇』
『いや、下着や上は着てたんだが……
……俺じゃなくて小林の兄貴達が駆けつけてたらおまえ今頃タンコブじゃすまなかったぞ?』
回想…
『こ、小峠の兄貴大変です!
亘清くんが倒れちゃいましたー!』泣
『うぉ…⁉︎速水!おまえは早く下を履け‼︎‼︎
小林の兄貴達が来る前に‼︎‼︎』
回想終了…
『そ、そんなことが…ッ(そんなラッキースケベが⁉︎////)』
『……純情もいいが…(こりゃ早くやる事やってくれねーと先が思いやられるな)』
そんな小峠の兄貴の心情を知る余裕もなく、
ただ俺は色々思い出して鼻血を情けなく垂らすのであった。
……どうなる今後の俺の理性よ⁉︎
end
オマケ
『……純情過ぎるのも考えものだなぁ…』
『?速水 何か言ったか』
『いいえ!和中の兄貴なんでもありません!』にぱッ
『……こっちから、押して行こうかな』
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!