昔からなぜか私は妖の類に好かれやすい体質でした。
それ故私には白羽の矢が立ち、逢魔が刻に魂を断ち切られてしまったのでしょう。遥か遠い昔の、まるで昼行灯のような記憶ですが、これだけははっきりと鮮明に焼き付いています。
前世の血が私の身体を未だ流れているのか、代々続いてきた旅館を私が継いでからと言うものの、やはり妖の類が棲みついたりよく顔を出すようになりました。世間からは不気味がられ、親族からは気味悪がられ、いつしか皆々私の元を離れていきました。人1人から軽蔑されようものなら次の日にはその人は忽然と姿を消していたのですから、まあ当たり前といえば当たり前ですが。
人々は皆口を揃えて「神隠しだ」と騒ぎ、旅館の代表者である私はいつの間にか世間に名が知れ渡って、容易く下界を歩くことなどできなくなりました。
いくら旅館から此処が近くても、下界の人間に顔を晒そうものならばたちまち噂は広がる。
「逃げ場」だなんて、まるで稚児の夢。
それでも、どこか人肌並みの温もりを求めてしまうのは、どうしてでしょうか・・・。
コメント
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なんか、語彙力がすごいなあ お祓いとか行ってみたらいいんじゃない?(適当)