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放課後の神社のベンチは、日没の光でオレンジ色に染まっていた。

学校の喧騒が遠くに消え、二人だけの世界が静かに広がる。

翔は先にベンチに腰を下ろし、足を組んで時計を見る。

「21:29まで、まだ少しあるな…」


紬が遅れてやって来る。白いシャツに紺のスカート、肩まで伸びた髪をそっと整えながら、少し息を切らして座った。

「ごめん、翔。今日は授業が長引いちゃった」

「気にするな。俺も少し早く来すぎたくらいだ」

翔はそう言って笑うが、その瞳は紬を見つめる。学校では見せられない本当の自分を、ここではさらけ出している。

「今日は…ちょっと聞きたいことがあるの」

紬の声は普段よりも少し低く、震えが混じっていた。

翔はうなずき、手を軽く差し出す。「話してみろよ、でも俺も…俺から話したい」


外では学校の仮面をかぶる二人も、ここでは素直になれる。

翔はまず、自分が外で人気者の顔を作り、笑顔を振りまいていることを打ち明ける。

「クラスの中では、俺は…みんなに合わせてるだけなんだ。本当の俺は…こうやって落ち着いて座ってるときくらいしか出せない」

紬は驚いたように目を見開く。

「そんなふうに思ってたんだ…」


次に紬が口を開く。

「私も同じ。外ではクールでいないといけない気がして…でも本当は、もっと明るい自分もいる」

二人の秘密が少しずつ交差する。学校では決して見せられない自分。

でもここでは、互いにその姿を知り、安心して笑える。


翔は紬の手をそっと握る。

「ここでは本音でいられるんだな」

紬は小さく頷く。「うん、翔と一緒だと、心から笑える」

風が二人の間を通り過ぎ、髪を揺らす。ベンチの木々はゆっくりと揺れ、夕日の光が二人の影を長く伸ばす。


「ねぇ、翔…どうして私たち、学校では距離を置いてるんだろうね」

翔は少し寂しげに笑う。

「それが…外の世界ってやつだからな。みんなの期待とか、役割とか…俺たちはその中で仮面をかぶるしかない」

紬は小さく息をつく。「でも、ここでは違う。誰も見てないから、本当の私でいられる」

二人の指が自然に絡む。心臓の音が、風の音よりも大きく聞こえる。翔は心の中でつぶやく。

「この時間が_21:29 紬との時間が__永遠に続けばいいのに」

紬も同じ気持ちを抱く。「外では無理でも、翔の隣で本当の私でいたい」


夕日が沈み、空は藍色に変わり、街灯が一つずつ灯る。二人の21:29は始まったばかり。

外では仮面をかぶる二人も、ここでは本当の自分を見せられる。

翔は手のひらに感じる温もりをそっと握り締める。「紬…これからも、ずっとこうしていよう」

紬も笑顔で頷く。「もちろん。21:29は、私たちだけの時間だから」

夜風が通り過ぎる中、二人は静かに座り続けた。互いの心が触れ合い、確かに通じ合う感覚があった。

この瞬間こそが、二人の秘密の時間――21:29だった。

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