アカシックは、前からずっと気になっていたことを話し始めた
「そういえばさ……俺たちのクラスの担任はあれからずっと学校に来ていないよね。……無断欠勤なんだってさ。音信不通らしいんだ。職員室を通りかかった時にその会話が聞こえたんだ」
ステラがその言葉を聞いて言った
「アカシック様。どうやらこの世界と私たちの世界との境界線が無くなりかけているらしいのです。些細な出来事でも突然別の世界に行ってしまう可能性があるので、おそらくは巻き込まれたのだと考えられます」
アカシックはそれを聞いて一気に青ざめた
「…………一度その現象に巻き込まれると、見つけるまでが大変なんだ。発見までにそれほど時間がかからなければ別に良いんだが、もしも時間が立ちすぎていた場合は既に死亡してしまっている可能性もあり得るんだ」
「じゃあ早く見つけなきゃ!!」
と月見が慌てたように言い、どこかへ行こうとするのをアカシックが肩を掴んで止めた
「離してよ!!邪魔しないでよ……!!先生が、先生が……!!」
彼はゆっくりと首を降った
「俺でも無理だ。この世界以外にも何百何千何万と世界線が存在する。過去、現在、未来の全ての時間軸だ。その全ての時間軸を片っ端から覗くしか方法がないんだ。俺の場合は時間軸を一つ読むのに多量のエネルギーが必要になるのに、俺にも無理なことが、君にできるとでも?……できるはずもないのさ。ただの人間なのだから」
「アカシック様!!言い過ぎにも程があります!!」
とステラが激しい怒声をあげた
月見は涙目になった
アカシックの頬を激しく叩き、「夏樹くんのバカ!!」と大声で叫んで泣きながら出て行った
彼は殴られた頬を痛そうに抑えている
「月見…………」
月見が走っていってしまうと、ステラはアカシックに静かに問いただした
「アカシック様……貴方が彼女に仰った言葉の意味をきちんとわかっておられるのでしょうね?」
彼は淡々と言った
「俺は、自分の意見を正直に言ったまでだ」
そんな彼にステラは月見に殴られた頬のもう一方の方を本気で殴った
彼は驚いたようにステラを見上げた
「それがダメなんですよ!!そんな事を言うなんて、一体どうしてしまわれたのですか!?そんな事を仰られるなんて……そんなの……昔の貴方と変わらないではないですか」
彼はステラの言葉を聞いても何も感じてはいなさそうだった
いくら人間に肉体の見た目が近いとはいえ、彼は最上位存在故に人間の気持ちがわからない時がある
昔ほど酷くはないのだが、やはり何かの影響を受けていることには変わりが無かった
「……アカシック様が変わってしまわれたのは、確か5歳の時でしたよね。5歳になる前の貴方は、今よりもずっと優しかったですよ。この世界に迷い込んできた人間の子どもにも、親切に丁寧に話しかけていたではありませんか……!?!?」
それを聞いた後、アカシックは呟いた
「……すまない」
ステラはその言葉を聞くと、彼に言った
「謝りに行きましょうか」
ステラ達は月見の走って行った方向に歩いて行った
「月見〜、どこだ?さっきはすまなかった、出てきてくれないか?」
????「月見という方はここにいますよ?」
と言う声がアカシック達の後ろからきこえた
その声に全員が反応した